第24回目の「防衛白書」は、前年に引続き平成10年に発刊されました。
平成10年3月、陸上自衛隊のコンパクト化と並行して、予備自衛官より即応性の高い任務に対応する即応予備自衛官制度が発足しました。
大きな防衛力を必要とする有事の際には大量の動員が必要になりますが、多くの人員を日頃から保持することは効率的ではありません。多くの国では、普段は必要最小限の常備人員を保持し、いざという時に必要となる人員を急速かつ計画的に集めて戦力を増強するために「予備役制度」を整備しています。我が国ではこれに当たる制度として「予備自衛官制度」が、自衛隊設立当初の昭和29年から陸上自衛隊に設けられています。
昭和45年に海上自衛隊、昭和61年に航空自衛隊に導入され、平成5年からは女性の予備自衛官の採用も開始されました。予備自衛官は、駐屯地の警備や後方地域で任務を実施しますが、即応予備自衛官は、第一線部隊の一員として現職自衛官とともに任務に就きます。
平成28年度末現在の予備自衛官員数は、陸上自衛隊47,900人、海上自衛隊8,075人、航空自衛隊4,600人で、即応予備自衛官は8,075名です。処遇は、手当として予備自4,000円/月・即応予備自16,000円/月、訓練招集手当として予備自8,100円/日・即応予備自10,400円/日(階級に応じ変化)が支給され、即応予備自の雇用企業には、給付金として年額510,000円が支給されます。
普段は社会人や学生としてそれぞれの職務に従事しながら、一方では自衛官として必要とされる練度を維持するために訓練(予備自:年間20日以下、即応予備自:年間30日)に応じます。
予備自衛官と即応予備自衛官は、自衛隊の経験者が希望により採用されますが、自衛隊未経験者が予備自衛官補として所要の教育訓練を経た後、予備自衛官として任用されるという制度もあります。
東日本大震災においても、延べ2,179人の即応予備自衛官と、延べ464人の陸海空自衛隊の予備自衛官が、捜索活動、物資輸送及び給水・給食支援等の生活支援活動に従事しました。
我が国の平和と独立は、常備自衛官だけで守れるものではなく、企業を含めた広く国民の理解と協力が必要不可欠です。予備自衛官制度は、国の防衛の重要な一部として必要なものであり、多忙な時間の中で訓練に励み、招集に応じて自衛官として任務を果たすことは、敬意とともに心強く頼もしく思われています。
参考サイト
◆防衛省・自衛隊ホームページ
◆防衛白書とは?(1)防衛白書の歴史
◆防衛白書とは?(2)作成の方針
◆防衛白書とは?(3)防衛白書と防衛大綱
◆防衛白書とは?(4)防衛力強化の取り組み
◆防衛白書とは?(5)シビリアン・コントロール
◆防衛白書とは?(6)新階級「曹長」と予備自衛官
◆防衛白書とは?(7)日米協力と機密情報保護
◆防衛白書とは?(8)防衛予算の金額と防衛記念章の規定
◆防衛白書とは?(9)冷戦の縮小とフォークランド紛争の教訓
◆防衛白書とは?(10)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(11)中央指揮システムの設置と女性自衛官活躍の拡大
◆防衛白書とは?(12)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(13)在日米軍の施設と関連費用とは
◆防衛白書とは?(14)次期支援戦闘機(FS-X)の選定
◆防衛白書とは?(15)大喪の礼と自衛隊
◆防衛白書とは?(16)即位の礼と自衛隊 定年延長について
◆防衛白書とは?(17)湾岸戦争と自衛隊 防衛白書平成3年版
◆防衛白書とは?(18) 国連を中心とした人的な面での活動に対する協力
◆防衛白書とは?(19)米軍の夜間離着陸訓練場所の変更とイージス艦の導入
◆防衛白書とは?(20)自衛隊創立40周年の節目
◆防衛白書とは?(21)自衛隊の災害派遣 阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件
◆防衛白書とは?(22)日米関係の強化
◆防衛白書とは?(23)「新ガイドライン」と「防災基本計画」