みなさんは子どもの歯磨き中に、歯ブラシによる事故が多発していることをご存知でしょうか。事故内容は主に歩きながら歯磨きをしている最中に転倒し、口の中や喉に歯ブラシが突き刺さるというものです。最悪の場合、命にかかわる事態になったという子どももいます。
このように、歯磨き事故で子どもが重傷化するケースがあるなか、歯ブラシの危険性をそれほど深く考えていない保護者が多くいるのが事実。箸や鉛筆のように先端が尖っていないので、大事にはならないと油断してしまうのでしょう。
しかし、事故は実際に起きています。取り返しがつかない事態にならないように、歯磨き事故について事故状況や対策などを詳しく見ていきましょう。子どもを守れるのは、側にいる保護者だけです。
歯磨き中に起きた事故の発生状況について

東京消防庁によると、稲城市、島しょ地区を除く東京23区では、23年から27年までの間に213人の子ども(5歳以下)が歯磨き事故で救急搬送されています。あまり知られていないのですが、23年では45人、24年は44人、27年は46人というように、年間で約43人の子どもが歯磨き事故で負傷しているという実態があるのです。
年齢別で見ていくと、歯磨き事故で負傷した213人のうち最も多いのが1歳児です。救急搬送された人数は100人となり、全体の約47%を占めています。続いて、2歳児は60人、3歳児は29人というように、1~3歳児までの子どもが歯磨き事故を起こしやすいことが明確です。
次に、歯磨き事故の状況について見ていきます。やはり1番多いのが歯磨きをしている最中に転倒し、歯ブラシによって口の中を怪我したり、頬に刺さったというものです。その他にも、子どもが歯ブラシを加えていたときに人にぶつかって負傷したというケースや、踏み台から落下したというケースもあります。213人のうち約84%における179人が軽症で済みましたが、2人が命にかかわる重症者だと診断を受けたのです。
歯磨き事故を起こさないための対策

子どもの歯磨き事故を防ぐためには以下のことに注意しましょう。
・歯磨き中、歩いたり走ったりさせない
・椅子や踏み台に乗ったまま歯磨きをさせない
・人に接触しないように保護者が見守る
子どもが気をつけていても、兄弟は子どもの周りで遊んでいてぶつかるケースもあります。歯磨きをしている子どもだけではなく、周りにも注意する必要があるのです。
また、最も負傷者が多い1歳児に歯磨きをさせるときは、保護者が目を離さないようにすることが大切です。子どもの頭は重く、全体のバランスが悪いので転びやすくなります。特に歩きはじめた1歳児は障害物がない平面でも、簡単に転んでしまうものです。
たしかに歯ブラシの先端は鋭く尖っているわけではありませんが、転倒したときに歯ブラシが口の中にぶつかる衝撃は最大27.5キロで、鶏肉に穴が開くほどだと言われています。これを子どもの柔らかい口の中だと考えると、ゾッとしますよね。これまでは歯ブラシによる死亡事故は起きていないのですが、事故状況によっては歯ブラシが脳にまで達する可能性は十分にあります。
歯磨き事故を防ぐためにも、子どもが歯ブラシを加えているときは、事故が起きる可能性があるということを忘れないようにしましょう。子ども用の歯ブラシには、事故防止のために口の中に深く入らないようなデザインのものも販売されています。子どもの安全対策のために、検討してみるといいかもしれません。
まとめ
・歯磨き中の事故が起きやすい年齢は1歳
・転倒時、歯ブラシが口の中にぶつかる衝撃は約27.5キロ
・子どもが歯磨きをしているときは保護者が見守る
参考サイト
◆NHK生活情報ブログ:「歯ブラシによる事故に注意!」
◆消費者庁 独立行政法人国民生活センター:「乳幼児の歯ブラシによる事故に注意!」
◆東京消防庁:「乳幼児の歯みがき中の事故に注意!」