ハラスメントを受けたときには、心が非常に傷つきます。また、肉体に傷を負ってしまう人もいるでしょう。加えて、「精紳を患ったので仕事を辞めたい。とても働ける状態ではない。でもその後の生活が心配だ」という悩みにさいなまれる人もいるでしょう。
しかしそんな時に思い出してもらいたいものがあります。それが、「労災」です。
ハラスメントで労災が降りることもある
「労災」という言葉は、働いている人ならば一度は耳にしたことのある単語でしょう。「労働者災害補償保険」の略称であり、労働者を守るための保険です。業務上負ったけがなどを補償するものですが、これは「ハラスメントによる精紳被害」に対しても適用されます。
2013年の段階では、「ハラスメントによって精神疾患を患った」と訴えた人のうちの55人にこれが認められ、労災認定が与えられました。たとえ加害者本人に悪気やハラスメントの意識がなかったとしても、客観的に見て「職場でのストレスによる精神障害だ」とされれば、労災がおります。
ちなみに、労災を請求するためには、都道府県労働局や労働基準監督署への相談が必要となります。ただ、「あのことは思い出したくない」「窓口に行きたくない」と考える人もいるでしょう。このようなことを踏まえて、国は、請求書を厚生労働省のホームページからダウンロードできるようにしていたり、専門の資格を持つ人が相談に応じたりするといった対策も講じています。
認定条件について
ただ、「ハラスメントだ!」と訴えさえすればどんな状況でも労災が降りる、というわけではありません。以下の要件を満たす必要があります。
・うつ病などの精神障害を患っていること
・半年程度の間に業務上で強いストレスを受けた(セクハラなどの継続して行われる性質のハラスメント場合は「その事象が起きたときから今までのストレス」で評価する)
・プライベートが原因ではない、と判断されること
労災はあくまで「労働上で起きた問題」に対して出されるものですから、プライベートが原因とされた場合は認定されないのです。
まとめ
・ハラスメントを理由とする精神障害の場合は、労災が認定されることもある
・2013年は55人が認定された
・「精神病を患っていること」「半年間程度の間に強いストレスがあったこと」「それが仕事上のものであること」の条件がある