みなさんは自治体から配られている、ハザードマップを確認していますか。各自治体ではハザードマップ作成の予算を確保して、洪水・土砂災害・地震・高潮・津波・火山の各ハザードマップを作成して全戸配布しているのです。ただ残念なことにハザードマップの認知度は約30%と、とても低い値となっているのです。その理由の一つに、「紙媒体での配布であること」が関係あると、長年ハザードマップ作成に携わってきた防災士としては感じています。そしておススメなのが、スマホでいつでも危険度を確認できる「重ねるハザードマップ」なのです。
本記事では防災士の目線から、重ねるハザードマップのメリットを解説してきますね。
重ねるハザードマップはアプリでなく国交省のポータルサイト
重ねるハザードマップは防災アプリではなく、国土交通省が運営するポータルサイトなのです。ですからスマホで管理するには、「重ねるハザードマップ ポータルサイト」をブックマークしておくのが、最もおススメできる方法となります。先ずは「重ねるハザードマップ」をGoogleで検索すると、トップに表示されるのでわかりやすいですよ。
表示できる種類は6種類、土地の成り立ちまで確認できる
重ねるハザードマップには次の6種類の情報を、重ねて表示することが可能となっています。
1:洪水浸水想定区域
大雨による洪水によって浸水する水深を0.3mから20mまで8段階で着色されていて、ため池の決壊による浸水想定区域もわかります。
2:がけ崩れ、土石流および地すべり
土砂災害による危険がある個所が全て表示されます。急傾斜地崩壊危険個所・土石流・地すべり危険個所・雪崩危険個所などが色別で表示され、色が重なる所ほど危険度が増している箇所となります。
3:高潮浸水想定区域
高潮にて浸水する危険のある個所が表示されます。ある意味、津波より高潮の方が危険度のリスクは高いので、要注意なのです。洪水浸水想定区域と同じく、0.3mから8段階の着色で表示されます。
4:津波浸水想定区域
海溝型地震によっておきる津波の浸水深が、洪水浸水想定区域と同じく、0.3mから8段階の着色で表示されます。
5:道路防災情報
道路が冠水する場所、大雨のときに事前に通行規制となる道路、大雪時に規制される道路が表示されます。
6:地形分類
数値地図25000(土地条件)、脆弱地形調査及び治水地形分類図のデータより作成されていて、土地の成り立ちや自然災害のリスクなどがわかります。
これらの危険度が全て重ねて表示されるので、視覚的に危険な個所をカンタンに把握することができるメリットがあります。
スマホがあればGPS機能で現在地がすぐわかる
紙媒体のハザードマップのデメリットは、誰もが地図を読める訳ではないところなのです。ハザードマップを大切に保管していても、地図上で自分の家がどこにあるかわからいと意味がありませんよね。その点、重ねるハザードマップをスマホで見れば、GPS機能で現在地が直ぐに表示されるので、自宅の危険度をピンポイントで把握することが可能となるのです。
航空写真を1961年から、年代別に見ることができる
このサイトの面白いところがGoogleマップでもおなじみの、航空写真を全国シームレスで見ることができる点です。さらに1961年から年代ごとに最新まで比較して見ることができるので、例えば現在の自宅が以前は田んぼだったのか、海だったのか、山だったのか、はたまた昔から住宅として存在していたのか、土地の歴史をみることができるのです。ここは流石、国の力といってよいかも知れません。
出張先や転居先の危険度を予め把握できる
このポータルサイトを利用すれば、長期出張する際には出張先の危険度を把握できるので、台風などの気象情報と組合すことによって予め想定される災害に対処することができます。さらに転居する場合であれば、転居の予定先が災害に強いのか、弱いのかを知ることができます。転居してから慌てなくて済みますし、あまりにも危険度が高ければ他の転居先を選ぶことも可能となってくるのです。
紙ベースのハザードマップが無くても、いつでも危険度を確認することができる
本来は自治体が配布するハザードマップを確認して保管しておくのがよいのですが、このポータルサイトを知っていればいつでも危険度を確認することができるのです。「ハザードマップってどこにやった?」と悩まなくても、スマホさえあれば問題ありませんね。ポータルサイトなのでパソコンでも利用できるので、大きな画面で確認することも可能なのです。
一点注意点があります。
カンタンで便利な「重ねるハザードマップ」なのですが、一点だけ注意しないとならないことがあります。それは、「最大に拡大すると、浸水深などの着色が消えてしまう」ことです。あれっ、色がきえたぞ!と焦らなくても、それはシステム上そうなっているだけなので拡大率を下げれば、再度表示されるのでご安心ください。
まとめ
・重ねるハザードマップは国土交通省が運営するポータルサイト
・ブックマークしておけばスマホでいつでもハザードマップを確認できる
・全国の危険個所を確認できるのでとても便利
・航空写真も年代別で比較できるので面白いサイト
参考サイト
◆国土交通省 重ねるハザードパップポータルサイト
◆国土交通省 重ねるハザードパップ 操作マニュアル
◆国土交通省 重ねるハザードパップ ~身のまわりの災害リスクを調べる~
◆株式会社 NTT ドコモ モバイル社会研究所 防災レポート