避難生活は慣れない環境であり、ストレスで体調を崩しやすくなります。また、食事の偏り・感染症の流行などの理由で、体調を崩すことがあります。避難先でもしっかりと体調管理を行い、健康維持に努めることも必要と言えるでしょう。今回は、避難時・避難先で体調管理を行うときのポイントをご紹介するので、もしもの時に備えて知識として知っておきましょう。
手指の清潔を心がける
手を清潔に保つことは、感染症や食中毒を予防することにつながります。食事の前後、トイレの後などは手洗いを行ってください。ゴミに触れた後、赤ちゃんのおむつを替えた後、咳・くしゃみ・鼻水を受け止めた後なども手指が汚れがちなので、手洗いを行いましょう。
水を使って手を洗うことができないときは、アルコールを含んだ除菌ティッシュや手指の消毒液を使って清潔を保ちます。この時に、汚れの残りやすいポイント(指先、爪の間、手のひらのしわの間、指と指の間、親指の付け根、手首)を丁寧にふきとったり、消毒液がいき渡るようにしたりすることを意識してください。
目・鼻・口を素手で触らない/食べ物は素手で触らない
食中毒や感染症は、手を介して感染(接触感染)することがあります。目、鼻、口などを不用意に触ることはやめましょう。
食べ物を素手で扱うことも控えます。お箸などを使って食べるか、包み紙に包まれたまま持って食べるなどの工夫をしましょう。
マスクを着用する
マスクには感染症拡大を抑制する効果あると言われています。避難先ではマスクを着用し、体調管理に努めましょう。
現在、新型コロナウイルスの流行下であり、避難先でもマスクの着用を求められるケースが増えています。必ず非常用持ち出し袋の中に準備しておきましょう。
断水の影響により洗濯ができないことも予想されます。洗って使うマスクよりも、使い捨ての不織布マスクを準備しておくと安心です。
オーラルケアに取り組む
オーラルケアを怠っていると、感染症に罹りやすくなると考えられています。高齢者の場合は誤嚥性肺炎を起こしやすくなるので、特に注意が必要です。
災害時は日常と同じように歯みがきを行うことは難しいかもしれませんが、できる範囲でオーラルケアを取り入れていきます。歯みがきはブラッシングをするだけでも効果があります。歯みがきシートやガーゼを使って、口腔内を拭きとる方法もおすすめです。他にも、飲料水を使って口をゆすぐ、マウスウオッシュを使って口をゆすぐなどの方法もあります。非常用持ち出し袋の中に、オーラルケアグッズ(歯ブラシ、歯磨きシート、マウスウオッシュなど)を準備しておきましょう。
栄養バランスを考えた備蓄を行う
食事の内容が偏ると、体調を崩しやすくなります。備蓄をするときは、栄養バランスも考えてみましょう。例えば、野菜ジュース、野菜や果物の缶詰は、ビタミンやミネラルを補給することができます。肉・魚・豆などは、たんぱく質を補給することができます。
ローリングストックや長期保存が可能な商品(缶詰・レトルト食品など)を活用しましょう。
体を動かす
運動不足はエコノミー症候群の原因となります。スペースがある場合は、ウォーキングやラジオ体操を行い、体を動かしましょう。限られたスペースしかない場合は、その場足踏みやつま先立ちなどを行います。長時間やろうとすると疲れが出たり気分が乗らなかったりするので、短時間をこまめに行うことを心がけましょう。
体を動かすことは、ストレス解消にもなります。ストレスがたまっていると感じたときも、運動でリフレッシュしましょう。
水分補給を心がける
災害時はトイレが使えない・トイレにいく回数を控えたい・水の消費をおさえたいなどの理由から、水分補給を控えてしまいがちです。ところが、水分補給を適度に行わないと脱水症状に陥り、疲労、頭痛、食欲不振、足がつるなどの体調不良が起こります。放っておくと命にかかわる事態を引き起こす恐れもあります。適度な水分補給を心がけましょう。
水分補給はエコノミー症候群の予防にもつながります。体を動かすことに加え、こまめに水分補給をしてください。
飲料水を十分に確保すること(1日3リットル×最低三日分)や、簡易トイレを準備しておくことも、水分補給に関するプレッシャーを軽減することにつながります。
まとめ
・手指を清潔に保ち、感染症や食中毒を予防する
・素手で目、鼻、口、食べ物などを触れないようにする
・マスクの着用や、オーラルケアで感染症を予防しよう
・栄養バランスを考えた備蓄をする
・体を積極的に動かす
・水分補給で脱水やエコノミー症候群を予防しよう