災害対策は年齢に応じて行う必要があります。シニア世代は体力の衰えなどにより、避難に時間がかかることがあります。また、持病の薬など必要なものも増えてくるため、準備をしっかり行っておきたいところですね。そこで今回は、シニア世代が日頃から準備しておきたいものや、避難行動の心がけについてお伝えします。
食料の備蓄
シニア世代にとって、普通の災害食は固くて食べられないことがあります。無理に食べると嚥下を起こしやすく、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。リスク軽減のためにも、食料は食べ慣れたもの・食べやすいものを備蓄しておくようにしましょう。
例えば同じ災害食でも、乾パンではなく蒸ケーキや柔らかいパンなどを選んでみるといいですね。カロリー補給には、柔らかいクッキー・ゼリー・羊羹などもおすすめです。たんぱく質やビタミン類の補給のために、高たんぱく飲料や野菜ジュースがあると便利です。
おかずにはレトルトの介護食などが活躍します。
薬の準備
シニア世代になると、持病を抱えている方も多いでしょう。災害時は通常診療が行えなかったり、薬の支援がすぐに届かなかったりすることがあります。だからといって薬を飲まずにいると持病が悪化する恐れがあるので、平時から薬の準備をしておくことが大切です。
薬は非常用持ち出し袋の中に、最低でも三日~七日分を準備しておきましょう。薬には使用期限があります。ローリングストックの考え方を用いて、定期的に入れ替えを行っておきましょう。
災害時や緊急時は、薬をお薬手帳の情報に基づいて処方することがあります。お薬手帳そのものや、最新の処方状況をコピーした用紙を持ち出せるようにしておきましょう。コピーは複数作成し、家族や親戚などに預けておくとより一層安心です。
防災グッズの準備
防災グッズの準備は各世代に共通なものに加え、シニア世代に必要なものを意識して揃えましょう。
体への負担を考慮し、非常用持ち出し袋は軽い素材でできたものを選ぶようにしましょう。
日頃から老眼鏡を使用している方は、非常用持ち出し袋の中にスペアを入れておきます。
杖は日ごろ使用しているものとは別に、軽量でなおかつ折りたたんで収納できるものを、持ち出し袋の中に準備しておきましょう。
紙おむつは自宅に備蓄をしておくとともに、持ち出し袋の中にも数枚入れておきます。日頃使用していない方でも、トイレ環境が整わないときに使用したり、替えの下着としても使用できるので、必ず準備しておきましょう。
口腔ケア用品の準備も必須です。口腔ケアを行うことで感染症や誤嚥性肺炎のリスクを下げることができます。入れ歯洗浄剤や歯ブラシ、歯磨きシートなどを準備しておきましょう。
情報収集手段の準備も忘れないで
スマホや携帯電話は災害時の連絡手段や情報収集ツールとして活躍しますが、電池切れを起こしてしまうと使えなくなってしまいます。停電が起こるとコンセントから充電することもできなくなってしまうので、モバイルバッテリーを準備しておきましょう。モバイルバッテリーは携帯電話ショップ、家電量販店、コンビニ、インターネット通販など身近な場所で購入することができます。
情報収集にテレビをメインで使っている方は、停電が起こると情報を全く入手できなくなる恐れがあります。携帯ラジオなど、他の情報収集ツールも準備しておきましょう。
避難所、避難ルートの確認
安全かつ速やかに避難をするためには、あらかじめ避難場所や避難場所までのルートを決めておくことが大事です。まずはハザードマップで避難場所を確認しましょう。避難場所は災害の種類(地震、水害など)によって異なるので、災害の種類別に調べておくことも忘れないでください。
避難場所を確認したら、そこまでの避難ルートを考えましょう。シニア世代が避難ルートを決めるときは最短距離かどうかだけでなく、「安全に避難できるか」「自分の体力に即しているか」という視点も取り入れてみましょう。例えば段差や急こう配の多い道は、かえって時間がかかることがあります。また、同じ階段でも、段差が小さい方が歩きやすいこともあるでしょう。少し迂回することになっても、確実に避難できる道を選びましょう。
避難ルートを決めたら実際に歩いてみて、どれくらい時間がかかるか調べておきましょう。
避難は早めに行う
シニア世代は体力の衰えなどから、避難に時間がかかることがあります。また、道の状態などが悪くなってから避難をすると、転倒などのリスクも高まります。命を守るためにも、避難は早めに行うようにしましょう。
災害時や緊急時に、自治体が避難情報を発令することがあります。シニア世代の方は「高齢者等避難」という指示が出たら、すみやかに避難を開始してください。この指示が発令されていなくても、早めに避難を開始してください。命を守ることを最優先に考えましょう。
まとめ
・食料の備蓄は食べやすいもの・食べ慣れたものを準備する
・薬、お薬手帳を準備し、すぐに持ち出せるようにしておく
・老眼鏡、杖、口腔ケア用品などを準備しておく
・モバイルバッテリーを準備し、スマホや携帯電話を充電できるようにしておく
・テレビ以外の情報収集ツールも確保しよう
・避難所や避難ルートを決め、実際に歩いて経験しておく
・避難は早めに行い、命を守ろう