西日本豪雨や令和2年7月豪雨(熊本豪雨)など、ここ数年で水害が立て続けに発生しています。水害は繰り返し発生する災害であり、誰もが危機意識を高めておく必要があると言えるでしょう。
今回は水害が予想されるときの避難方法やチェックすべき情報について紹介するので、命を守る行動につなげましょう。
避難前の準備と避難の仕方
①情報収集
水害の発生が予想されるときは情報収集を行う必要があります。テレビ、ラジオ、インターネット、防災無線、SNSなどを使って、気象警報などの情報をリアルタイムで収集しましょう。
情報源は複数確保してください。また、デマに惑わされないように、信頼できる情報源をチェックするようにしましょう。
②避難経路の確認
避難経路の確認をすることで、いざというときの心づもりや速やかな避難行動がとれる体制作りを行いましょう。ハザードマップをもとに、避難所の位置とルートの確認を行ってください。
③非常用持出袋の準備
避難時にすぐに持ち出せるように、非常用持出袋の中身を確認します。貴重品、薬、食料、着替え、ラジオ、携帯電話の充電器、衛生用品など基本的なものに加え、自分の年齢・性別・ライフスタイルに合わせて最低限必要なものを準備しましょう。現在、新型コロナウイルス感染症が流行しています。マスク・アルコール消毒液・体温計なども準備しておきましょう。
水害時の非常用持出袋は防水性のリュックサックがおすすめです。濡れて困るものは、あらかじめジッパー付きのビニール袋に入れましょう。
④家屋の水害対策
家屋の水害対策も行いましょう。排水溝の流れが悪いと下水があふれる危険が高くなります。雨や風が吹く前に排水溝を点検し、汚れている場合は掃除を行いましょう。
浸水が予想される地域では、土嚢や水嚢で対策を行います。浸水は低い場所から起こります。浸水したら困るもの(貴重品・電化製品・思い出の物など)は、高い位置に移動しましょう。戸建ての場合は1階よりも2階が、アパートなどは棚の上部などがおすすめです。風で飛ばされそうなものは怪我を誘発する恐れがあります。あらかじめ屋内に片付けてください。
⑤避難に適した格好
避難をするときは頭部を保護するヘルメットを被ります。手は軍手などで保護しましょう。衣服がぬれて重たくなると速やかな避難の妨げとなる恐れがあるので、レインコートを着用してください。黄色など目立つ色がおすすめです。
靴は履きなれた靴(スニーカーなど)を履きます。長靴は靴の中に水が入ると重たくなって、かえって歩きにくくなることがあります。
ライフジャケットを所持している方は着用しましょう。
⑥避難の仕方
避難を開始するときは事故防止のため、ブレーカーを落としておきましょう。
車や自転車などを使って避難をすると、浸水したときに動けなくなる恐れがあります。早めに徒歩で避難をしましょう。
崖や斜面の側、河川の側、マンホールから水があふれている場所やその周囲は、災害やケガのリスクが高いです。避難ルート上にこれらの場所がある場合は、近寄らないようにしましょう。
チェックしておきたい情報
①ハザードマップ
ハザードマップには浸水する範囲、水深、避難場所など災害リスクを知るための情報や避難をする際に必要な情報が記載されています。必ず目を通してください。
紙媒体のハザードマップは自治体の窓口などで入手することができます。紙媒体が入手できない場合は、インターネットで「ハザードマップポータルサイト」と検索し、自分の住んでいる地域名や住所を入力すると、その範囲のリスク情報を見ることができます。
②気象情報
気象庁は災害の恐れがある際に、「気象警報・特別警報・注意報」を発表します。警報は重大な災害が発生するおそれのあるときに警戒を呼びかけるために発表されます。特別警報は、警報の発表基準をはるかに超える大雨等が予想され、重大な災害が発生するおそれが著しく高まっている場合に、最大限の警戒を呼び掛ける目的で発表されます。注意報とは、災害が発生するおそれのあるときに注意を呼びかけるために発表されます。
これらの情報をこまめにチェックし、警戒感を高める・避難準備をする・避難を開始するなどの行動につなげましょう。
③川の水位情報
川の水位が高いときは、反乱や洪水などのリスクが高い状態と言えます。民間のサービスは、官公庁や地方自治体が発表する川の水位情報をもとに、洪水予報などを提供しています。このような情報もチェックし、避難の目安にしましょう。
④避難情報
避難情報とは集中豪雨などの影響により災害発生の恐れがある際に、住民に避難をうながすために市町村が発令する情報のことで、全部で5段階に分けられています。高齢者、障がいがある方、避難に手助けが必要な方などは「レベル3・高齢者等避難」の段階で避難を開始してください。それ以外の方は自主避難の目安にします。「レベル4・避難指示」が発令されたときは、全ての方が速やかに避難をします。
雨の中の移動は想像以上に過酷であり、普段どおり動けないことがあります。また、ひとたび水流や浸水被害が発生したら、身動きが取れず命の危険があると考えた方がよいでしょう。「まだ大丈夫」と過信するのではなく、状況が切迫する前に早めに避難を開始してください。
まとめ
・水害は身近な災害であり、日頃から備えが必要
・ハザードマップで水害リスクについて調べておく
・避難をする際はレインコートなどを着用し、長靴は避けるのが望ましい
・安全なうちに地歩で避難を開始し、災害リスクのある場所には近づかない
・気象情報や河川の水位情報などをチェックし、警戒を高める
・避難情報が発令された場合は、速やかに避難行動にうつす
参考サイト
◆荒川上流河川事務所「水害発生時の避難行動について」
◆気象庁「気象警報・注意報の種類」
◆ハザードマップポータルサイト
◆YAHOO「河川水位情報」