東日本大震災の時に、宮城県南三陸町の職員が避難を呼びかけ続け、津波に巻き込まれて亡くなった事件を覚えている方はいるでしょうか?
この放送により住民1万7700人のうち、半数以上が避難出来て助かったと言われています。
一方で、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区では防災無線が故障した為、放送が流れず、結果として900人以上の方々が亡くなられました。
避難警報が鳴らない時はどの様にすればいいのでしょうか?
J-ALERT(全国瞬時警報システム)が届かない時も含めて、どの様にすべきかを調べてみました。
避難警報や防災無線が鳴らなくなる理由は?
市町村ではそれぞれが、市町村防災行政無線と呼ばれる緊急時の避難放送を行う設備があります。
これは無線機を使って地域内に設置されたスピーカーから音声で警報や避難の案内を行うのですが、災害の時には正常に作動しない場合があり問題となっています。
主な理由としては、スピーカー設備や無線を送信する設備そのものが被災してしまい、放送が出来なくなってしまう事です。
上に書いた宮城県名取市閖上地区の事例では、無線放送を行う親機が故障してしまい、地域内のスピーカーから避難警報が流れなかったというトラブルを起こしています。
これはJ-ALERTでも同様の事が起きる可能性があり、今後対応すべき課題となっています。
2013年3月には、総務省が中心となってJ-ALERTの全国一斉自動放送等訓練を行い機械的なシステム不具合の改善や広報車も用いて警報を流すといった伝達方法の改善といった対策を行っています。
鳴らない時はどうすればいいの?
それでも、大きな災害があった事は明らかなのに警報が鳴らない場合はどうすればいいのでしょうか?
まず、出来るのであればラジオを聴いたり、テレビやインターネットで防災情報を見るようにして下さい。
地震や津波といった情報は、J-ALERTを通して全国に情報が共有されます。
その為、ニュース速報やインターネットに情報が出ないという事は早々ありません。
但し伝達の遅れなどで、必ずしもすぐに情報が流れる訳ではないので早とちりして安全だと誤解しないように注意しましょう。
また、地震の影響等でテレビやネットが利用できない事もあります。
J-ALERTや防災無線から流れる避難情報を聞く手段がない場合の時は最寄りの避難所へ避難して下さい。
災害発生時には、市町村の担当者が避難所へ配置されるので、彼らから詳しい話を聞くと良いでしょう。
避難所に誰もいない時は、高台等の更に安全な場所へ避難している可能性があるので、急いで思いつく安全な場所へ避難して下さい。
再び例としてあげますが、閖上地区の事例では指示に従い公民館から中学校へ避難した結果、避難途中で被災してしまい犠牲者が出てしまいました。これも公民館よりも高い建物である中学校へ避難するという判断そのものは間違っていた訳でなく、公民館で助かった人たちも、たまたま津波の高さが屋上に届かなかっただけで非常に危険な状態だったとの事です。
危険だと思った場所には、長居せずに速やかにより安全だと思う場所へ移動するのが大切です。(参考「「津波てんでんこ」「命てんでんこ」…釜石の奇跡から学ぶ「防災教育」とは」)
J-ALERTや防災無線から流れる避難警報は災害の時に大きな役割を果たしてくれますが、もし届かない時も「何処に行けば安全なのか? 」という事を普段から考えておく事が大切です。
例えば、海沿いなら地震が来た時に一番近い山へ避難して津波から逃れるといった判断を出来る様にする事です。
災害の種類によって避難すべき方法は異なりますが、避難場所に指定される様な「高台にあり」「水源から離れ」「頑丈な建物と広場がある」場所へ避難する様にすれば安全と言えます。
日頃から近所にどういった避難場所があるかを調べておくと良いでしょう。
まとめ
・避難警報、情報は災害時に役立つものである
・各種障害で伝達されない時の事を考えておく必要がある