新型コロナウイルス感染拡大によって、避難所運営のガイドラインも変わってきました。避難所は性質上「密」になりやすい空間となります。その中で感染対策を講じながら、避難所を運営する必要があります。新型コロナウイルスに対応した避難所ガイドラインを、分かりやすく解説しましょう。
これからの必須となるスタッフの装備品
これまでは考えもしなかった装備が、これからの避難所には必要となってきます。程度は、それぞれの避難所で異なってきますが、一例としては次の装備が必要とされています。
・ゴム手袋(使い捨て)
・非接触型検温器
・フェイスシールド
・マスク
・カッパ
先ほど言った「程度」というのは、ファイスシールドの種類や、カッパでなく医療用ガウンであったりする違いを指しています。
避難所運営訓練に手袋・マスクの着脱訓練が追加された
これまでの避難所では、ゴム手袋はトイレの掃除や炊き出し、洗い物時に使うモノで、使い捨てではありませんでした。これからは、感染を防ぐためにゴム手袋やマスクの正しい使い方を、学ばなくてはなりません。ゴム手袋やマスクの正しい着脱には、次の9ステップが必要といわれています。
1:手指を消毒する。
2:マスクを鼻の形に併せて装着する。
3:手袋を装着する。手袋をした手で顔を触らないよう注意する。
4:片方の手袋を脱ぐ。内側(清潔部分)に触れないように注意する。
5:脱いだ手袋の内側部分でもう片方の手袋を脱ぐ。
6:廃棄物入れに距離を保って捨てる。
7:マスクを脱ぐ前に手指消毒をする。
8:マスクのゴム部分をもってマスクを外す。マスク本体には触れないよう留意。
9:廃棄物入れに距離を保って捨てる。
これらの手順は、避難所での新型コロナウイルス感染を防ぐためです。一旦、避難所でコロナ患者がでれば、恐らく近くにいた全員が濃厚接触者となり、避難所の外へ出ることは禁止されるでしょう。ただでさえ、ストレスを感じる避難所生活に拍車をかけることとなるため、スタッフには厳重な注意が求められることとなっています。
避難者の受付もパーティションとアルコール消毒液が必要
現在どの施設に行っても、入口で検温と手指のアルコール消毒が求められています。同じように、避難所の受付でも検温と手指の消毒が必須となります。発熱のある方には、専用スペースを用意しておき、そちらへ誘導することとなります。
占有スペースの区画間は1~2m以上・パーティションを設置
1家族の占有スペースは、1区画3m×3mを標準としています。家族の人数に応じて区画の広さは調整されます。ただし、各区画の間隔は1~2m以上となり、パーティションで区切ることが望ましいとされています。この間隔を必要とするため、これまでの人数よりも収容人数は少なくなってしまいます。
発熱・咳などや濃厚接触者専用の部屋を設ける
この対策も、これまでなかった対策です。発熱のある人や咳などの症状がある人、濃厚接触者となる人は、専用の部屋にて隔離措置を行います。部屋の中もベッドの周りをパーティションで区切り、できるだけ人との接触を少なくします。ただ、ベッドやパーティションを確保する数も限られてくるので、実際に起こってみなければ分からないところもたくさんあるのが現状です。
消毒訓練も追加された
消毒についても訓練を行い、消毒方法について習熟しておく必要があります。特に、トイレ等についての掃除・消毒訓練が推奨されています。避難所内の滞在スペースの消毒は、避難所を管理する自治体が行い、実施方法は、保健所の指導に基づきます。
その他換気・共用部の消毒・ゴミ捨てもルールが必要となる
換気についてもこれまでは、風通しを良くする目的で行われていたものが、感染対策として行われるようになります。天候上可能限り常時行うこと、困難な場合は30分に1回以上、数分程度窓を全開にする。2方向の窓を同時に開けて換気する。など細かく換気をするようになります。このルールによって、冬場は寒くても我慢しなければなりません。ドアノブ、手すり、スイッチ、蛇口等の共用部分はこまめに消毒します。ゴミ捨てにしても、隔離している専用スペースからのゴミと、一般のゴミとは分別する必要がありますし、マスクやティッシュなどのゴミは、ゴミ袋を2重にするなどの対策を行うこととなります。これまでよりも、神経質なほどゴミ捨てには気を配る必要があるのです。
避難生活を送る際の生活ルールも策定された
避難生活でも、新型コロナウイルス感染予防として、次の項目を生活のルールとして守るように言われています。
・避難所内での24時間マスクの装着
・手指の消毒の徹底
・2m以上のソーシャルディスタンス
・毎日の検温
・トイレのフタを閉めて流す
・掃除当番を決めて自主的に清掃する
・ゴミは各家庭で確実に密閉して破棄する
・靴はビニール袋に入れる
・洗濯をする際は、家庭ごとに行うことを徹底する
このような項目が、推奨されていてワークショップや避難訓練で実際に検証した上で、ルール作りをするようになっています。いずれにしても、これからの避難所生活はコロナウイルスの登場で変わってしまうのは間違いありません。ただでさえ辛い避難所生活が、今以上に辛くなるのは、仕方ないことかも知れませんね。
まとめ
・ファイスシールドやカッパなどコロナならではの装備品が必須
・ゴム手袋、マスクの着脱訓練も行われる
・避難所内での区画との間隔が必要なため収容人数が少なくなる
・発熱・咳などや濃厚接触者専用の部屋を設ける
・避難所生活する際の新しいルール作りも追加された
・コロナ時代の避難所生活はこれまで以上に辛くなるかも知れない