避難所生活が長くなると便秘を含む慢性疾患のケアなとが必要になってきます。
震災は被災者のこころとからだを大きく傷つけてしまいます。
持病の悪化や症状が助長されてしまう場合もあります。
その上、避難所で支給される食事の偏りや運動不足がたたり、便秘で苦しんでしまう被災者が数多くいます。
もともと、日本人は腸が短く便秘になりやすい体形であるため、避難所生活という環境の変化は、便秘を助長させてしまう要因の一つにもなっているのです。
震災便秘とは?

震災に関連する便秘に注目が集まったのは、東日本大震災がきっかけとなっています。
震災直後から続いている余震や原子力の問題など先の見通しが立っていない状況の中、支給される偏った食事などで便秘を訴える被災者が数多くいました。
著者も東日本大震災の被災者で、当時は口にする食材一つ一つ、放射能に注意を向けていました。
口にできない野菜や果物も確かに存在し、上水道がストップしトイレも自由に使うことができず、軽い便秘症状になっていました。
今考えれば、あれが震災便秘だったのかもしれません。
腸は第二の脳細胞
腸蠕動はストレスが大半を占める精神的な健康状態が深く関連しています。
震災ストレスで自律神経が乱れてしまうと、交感神経が優位になり腸の働きが悪くなってしまうのです。
排便の調子が低下してくると、腹部にガスが蓄積し胃が圧迫されてきます。
結果、食欲低下につながり、避難所で支給される偏った食事や排便を促す野菜や果物などの食物繊維の摂取量が減り、便秘になってしまうのです。
震災便秘とは精神的環境と身体的環境が悪循環した状態ともいえます。
腸は脳に次いで神経細胞の数が多いため、第二の脳細胞といわれているのです。
震災便秘の主な種類と対処法
・腹部膨満型:腹部に便や排ガス、空気が蓄積し苦しくなるタイプ
対処法は、ガスの発生を促す根菜やイモ類、豆類などを控えましょう。
可能なかぎりバランスの良い食事を心がけましょう。
避難所でもできる自分に合ったストレス解消法を見つけていきましょう。
メリハリのある日常生活を意識していきましょう。
・硬便型:便がいつもガチガチに硬いタイプ
対処法は、便の嵩(かさ)を増やす食物繊維を意識していきましょう。
適度な水分を取っていきましょう。
・排便困難型:排便するのが難しいタイプ(高齢者に比較的多い)

加齢によって大腸の働きが低下し肛門括約筋が乱れてしまうことです。
その上、食べる量や運動量の低下、避難所生活という悪循環は、高齢者にとって便秘になりやすい環境下になっています。
対処法は、肛門を締めたり緩めたりする運動を1日10回位実施してみましょう。
①肛門をぎゅっと締めて5秒ほど数えてみましょう。
②ふっと力を抜いて5秒ほど肛門を緩めていきましょう。
避難所でも簡単にできますので、運動の一つとして積極的に取り入れていきましょう。
震災便秘は「突然の震災→ストレス→便秘→腹部に排ガスが蓄積→食欲低下→排便困難」という悪循環に陥ります。
できるかぎり排便をスムーズにする食事と運動療法を意識していきましょう。
かくれ便秘も要注意
医学的には「3日以上便が出ない場合」を便秘と定義しています。
しかし、人それぞれ排便サイクルがあり、3日おきでも便がスッキリ出ていれば便秘とはいえません。
逆に「毎日出ているけれどスッキリしない」場合は、とくに注意をしなければいけません。
上記で触れた硬便型:便がいつもガチガチに硬いタイプが、かくれ便秘に該当してきます。
かくれ便秘チェックリスト
・毎日便は出ているがスッキリしない人
・排便してもスッキリしない人
・コロコロ便やガチガチに硬い便が少量しか出ない人
・排便サイクルが不定期で出るときは下痢便になってしまう人
・食事量が低下しお腹の調子が悪い人(高齢者に多い)
震災便秘はプルーンで解消!
震災便秘を解消する強い味方といえば「プルーン」です。
食物繊維を効率よく摂取する食品として、ドライフルーツであるプルーンはもっとも理にかなった食材であります。
プルーンにはLDLコレステロールの低下や骨代謝の促進、減塩に効果があるカリウムやマグネシウムなど多くの栄養素が含まれています。
プルーンは食物繊維以外の栄養価も非常に高い食材であります。
避難所で生活される方や震災後の食生活が乱れてしまった方など、栄養不足を補う意味でももっとも効果があるといわれています。
プルーンは天然由来の便利な便秘対策として、昨今注目されている食材なのです。
まとめ
・震災便秘は偏った食事と上水道の問題、トイレ環境が影響
・腸は第二の脳細胞
・「震災→ストレス→便秘→腹部に排ガスが蓄積→食欲低下→排便困難」は震災便秘の負のスパイラル
・かくれ便秘も要注意
・震災便秘はプルーンで解消