災害直後に発生しやすい感染症として、ノロウイルスやインフルエンザ、肺炎や食中毒、そして汚染による乾燥後の粉塵などがあります。
密集した避難所生活の感染症対策は、いつもたくさんの課題に追われています。
平時に正しいことが災害時に正しいとは限りません。
しかし平時にできないことは災害時にもできません。
感染症対策は手指衛生とマスクの着用です。
平時でも活かせる手指衛生とマスクの着用についてあらためて考えてみます。
手指衛生の選択
手指衛生はもっとも重要な感染防止対策です。
手指が知らぬ間に細菌の運び屋になっていることもあります。
手指衛生には流水と石けんで行う手洗いとアルコール製剤の消毒があります。
目に見える汚れがあるかないかで、その手洗い方法を選択していく必要があります。
・目に見える汚染がある場合
流水と石けんを使用して手洗いをします。
汚れが付着しているとアルコール製剤の効果が発揮されません。
・目に見える汚染がない場合
アルコール製剤を用います。
避難所には大抵アルコール製剤が常備されています。
簡単で場所をとらず優れた殺菌性があるアルコール製剤は、避難所生活には絶対に欠かせません。
避難所で推奨する手指衛生
感染対策の基本ともいえる手指消毒は、被災者だけに限らず避難所に出入りしているすべての職員が対象です。
排泄物や吐物、汚染された食器類など目に見える汚れが手に付着した際には、必ず流水と石けんを使用します。
そしてアルコール製剤を忘れずに行います。
手を拭く際には家族であってもタオルの共用は避けるようにします。
共用のタオルを介して感染源となる恐れがあります。
可能な限り個人専用のタオルかペーペータオルを使用しましょう。
手指消毒するタイミング
避難所生活で手を洗うタイミングをあらためて考えてみます。
・トイレの後は忘れずに手洗いを励行
・食事の前後も忘れずに
・食品を取り扱う前後
・感染源となる排泄物や吐物を処理する前後
・傷の処置をする前後
・病人の手助けをする前後
・ゴミを処理したとき
・鼻をかんだ後や咳やくしゃみをした後
これはあくまでも一例です。
こうして見てみると、何か事をした後は意識せずに手洗いをしてますが、事の前って何気に手洗いが抜けているような気がします。
手洗い一つがあなたの体を守るのですから、平時に実践しない手はありませんね。
マスクの着用で咳エチケット
避難所で使用するマスクは三層構造の不織布マスクが重宝します。
ノーズフィットワイヤーが鼻の隙間をなくして、マスクが顔にしっかりとフィットさせてくれます。
三層構造の不織布マスクは市販の簡易マスクで十分です。
しかし、あくまでも簡易マスクのため、有害なガスや汚染による乾燥後の粉塵などが発生する場所では使用できません。
余談ですが、簡易マスクの中にPM2.5(微小粒子状物質)対応と表示されているものがあります。
PM2.5(微小粒子状物質)とは、大気中に浮遊する粒子状物質の大きさをを示しています。
肺の奥まで入り込み健康被害が心配されている微小粒子物質ですが、マスクの種類によっては全く効果のないものもあります。
本格的に使用する際にはN95マスクとよばれる防護具を考慮していく必要があります。
N95マスクは着用者の肺への病原体の進入を95%防ぐことができます。
空気が乾燥する避難所ではマスクの着用が徹底さなければなりません。
マスクの着用は外部から細菌の侵入を防ぐことだけではなく、自身の身を守ることにもつながっています。
マスクがなければ手や肘で口元をおさえます。
人の方を向いて咳やくしゃみをしないことも大切ですね。
まとめ
・平時でも活かせる手指衛生とマスクの着用
・汚れがあるかないかで手洗いの選択が変わる
・手指消毒は事の前後も忘れずに
・簡易マスクで咳エチケット