2016年12月20日、毎日新聞は1946年の昭和南海地震より70年たつ事を契機に南海トラフ沖地震が起きた場合、津波被害が想定される自治体139ヶ所を対象に指定避難所が安全な場所であるかの調査を行いました。
その結果、6472ヶ所あるうちの3割に当たる1860ヶ所が津波による浸水予想区域にある事が分かりました。（毎日新聞　南海トラフ地震 避難所3割「津波浸水域」　1359カ所、耐震性確認できず）
指定避難所は大規模災害が起こった時に、住民が避難して生活を送る大切な場所です。
避難先を誤らない為に何を注意すればいいのか、災害ごとに選び方を考えてみました。

大規模災害の中で代表的なものとして地震があります。
地震によって避難する際に問題となるのは、「建物や道路の損壊」や「津波」があります。
加えて車の渋滞や緊急車両の通行場所といった通り抜けが困難となる場所も考えられます。
避難経路に障害となりそうなものがないかチェックしておき、いざという時は迂回する経路を確認しておきましょう。

事前に訓練する事も必要ですね。防災アプリで訓練可能なものもありスマホなどに入れておけば、イザという時にも役立ちます。

地震が起きたときに避難場所として注意しなけらばならないのは、周囲に落下物などの危険がない事です。
「生活用水が確保されている施設」や「自家発電装置を備えている場所」であれば避難生活の苦労を軽減する事が出来る可能性があるので、自治体で配布されているハザードマップで自らの受け入れ先を確認しつつ、可能であれば窓口に問い合わせておくと良いでしょう。

2011年3月11日に発生した東日本大震災には重要な教訓が沢山残されています。
その一つとして宮城県気仙沼市杉ノ下高台という「津波の指定避難場所で起こった悲劇」があります。
ここは普段の防災訓練から用いられる指定避難場所であったため、東日本大震災の時も住民たちが避難していました。
しかし、津波に対して充分な高さでなかった為、54人もの方々が命を落とす結果を招いてしまいました。
津波が起こったときに避難すべき場所は指定避難場所ではなく津波が届かない高台です。
避難所での生活は津波が引いてから行うものです。まずは周囲の高台や内陸部、津波避難ビルへと退避する事を優先しましょう。

1923年9月1日に発災した関東大震災では「火災により9万2千人以上もの方々が亡くなられた」とされています。
その中でも、「陸軍被服廠跡地を襲った火災旋風は約3万8千人もの方が亡くなられる」という悲劇を招きました。
関東大震災では複数個所から出火した事が火災による被害を多くしたとされていますが、避難者の荷物に延焼する事で焼け止まりと呼ばれる燃える場所を少なくした幅の広い道路などを超えて火災が広がった事が被害を拡大しています。また2016年12月22日に発生した糸魚川市の大火災と同様に、この日、日本海側に位置していた台風への吹き込みの風の影響により被害が更に拡大しました。台風の移動とともに風の向きも変わり火災の進行方向も変化していった事も被害拡大の要因でした。
避難所を選ぶ際にポイントとなるのは焼け止まりを超えた先の避難所へ行く事です。
通常は学校の校庭といった火災が広がり難い場所に避難所は指定されていますが、炎に囲まれてしまうと必ずしも安全と言い切れない可能性があります。
大きな道路や広い公園を挟んだ場所に避難する様にしましょう。

避難所は大規模災害から身を守る場所であると同時に避難生活の場所になります。
何処に行くべきか事前にしっかり調べて家族と共有しておきましょう。

・避難所は避難生活を送る場所であって、災害時に必ずしも安全な場所ではない
・地震や津波、大火災などに合わせて避難場所を選べるようにする事が大切
・災害時や訓練の時に役立つ防災アプリを活用する

・報告書（1923 関東大震災）　内閣府　防災情報のページ
・過去の災害に学ぶ　特別編　内閣府　防災情報ページ
・避難所及び避難場所　東京都防災ホームページ