3.11や熊本地震が発生した後は、被災地では支援物資が足りないという報道が繰り返されました。なぜ被災者に支援物資が届かないのか、疑問に思った方がいたかもしれません。また被災者支援の為、個人的に物資を送った方もいたのではないでしょうか。
支援物資に関する問題は、災害発生の度に発生しています。今回は、3.11や熊本地震から学ぶ支援物資の問題と、一人ひとりができることについてご紹介いたします。
3.11や熊本地震から学ぶ支援物資の問題
3.11や熊本地震等の大規模地震の後は、支援物資不足についての情報が流れました。被災地から離れたところに住む方は、被災者が支援物資を受け取れない状況に疑問を感じたかもしれません。
支援物資の問題は、繰り返し発生しています。ですが、支援物資の実態についてはあまり知られていないのが現状です。3.11や熊本地震等を振り返ると、品不足が発生するのは限られた時間です。国内では、被災地から離れた場所では商品が溢れています。支援物資も外部から大量に送り込まれています。
ではなぜ被災者のところに支援物資が届かないのでしょうか。理由はいくつかあります。
例えば、支援物資の受け手である自治体の人手不足、政府と自治体、自治体と避難所の不十分な意思疎通、供給ルートの寸断等です。特に受け手の人手不足は深刻です。通常、トラックに詰め込まれた支援物資は、自治体職員がおろします。大規模震災では多数のトラックが押し掛ける為、荷下ろし作業にもかなりの時間と労力を要することになります。ここから仕分けをして被災地に送るとなると、かかる時間と労力は並大抵のものではありません。
こうしてたとえ支援物資が被災地に届いても、被災者には届かないという事態が発生するのです。
支援物資の問題は他にもあります。それは被災者が求める物資と、届く支援物資が異なるということです。支援物資を送っても、すぐに被災者のもとに届くわけではありません。被災者の状況は時間の経過と共に変化します。今必要としているものと支援物資にはタイムラグが生じてしまいます。必要とされなくなった支援物資は、不良在庫として扱われることになります。
個人の物資支援の難しさ
個人の物資支援は非常に難しいでしょう。先述した通り、支援物資が届かない理由の一つに
自治体の人手不足があります。個人的に送る物資は、一つの箱の様々な品物が入っています。
まずは自治体職員がそれぞれ開封して、中身を仕分ける必要がありますが、災害発生後にはこれらを行うことができません。被災者に届けることができないまま終わることも多いのです。不良在庫となった物資は保管料、処分料が発生します。莫大な税金がかかればこれは二次災害とも言えるでしょう。
また個人に物資支援をする場合、注意しなければならないことがあります。例えば物資支援として中古品を選ぶことです。支援物資は在庫処分ではありません。まだ使えるという基準は人それぞれです。シミがついたもの、毛玉がついたもの、使用済みの下着等、送られて困るようなものは選ぶべきではありません。
被災者支援をしたいというのであれば救援物資を送るのではなく、フリーマーケットやオークションサイトを利用しお金に替える方法もあります。救援物資としてではなく、お金として被災地に送ってみてはいかがでしょうか。物資支援以外の方法を検討することも必要です。
他にも食料を送るのは控えましょう。生鮮品は腐る為、絶対に送ってはいけません。保存食は自治体に備蓄してあります。
被災者の助けになりたいという気持ちは大切です。ですが、いきなり個人的に物資を送ると被災地の負担になります。個人の物資支援の難しさを知り、十分に配慮しなければならないでしょう。
まとめ
・支援物資の問題は繰り返し発生している
・被災者に支援物資が届かない理由には自治体の人手不足や供給ルートの寸断等がある
・被災者が欲しい物資と届く物資は異なることがある
・個人の物資支援は難しい
・物資支援は在庫処分ではない
・支援するなら物資支援以外の方法を検討する