歩行者と自転車がぶつかる事故では、歩行者側が死亡したり、大けがを負うリスクが圧倒的に高いと言えます。命を守るためにはドライバーだけでなく、歩行者側もまた交通ルールを徹底して守ることが必要です。
今回は、歩行者が気をつけたい交通ルールについてお伝えするので、意識して取り組んでみましょう。
歩行者の交通ルール無視による事故とは
警視庁の調査によると、都内における2020年中の歩行中の交通死亡事故のうち、歩行者側に何らかの違反(信号無視、横断違反など)があったケースは、59.7%にのぼります。
違反内容は、信号無視、走行車両の直前・直後の横断、横断歩道外の横断、横断禁止場所の横断などです。これらの行為の中には、法令違反という認識がないまま行ってしまう場合もあります。事故防止のためにはドライバーだけでなく、歩行者もまた交通ルールを徹底して守る必要があると言えるでしょう。
歩行者が守る交通ルールとは
①歩道を歩く
歩道がある場所では、必ず歩道を歩きましょう。道路によっては片側にしか歩道がない場合もあります。このようなときであっても、必ず歩道を歩きます。路側帯がある場合は、路側帯の中を歩きます。
歩道や路側帯がない場所では、道路の右側を歩きましょう(右端を通ることが危険な場合などは、左端を通ることができます)。車は道路の左側を通行するルールとなっています。右側を歩く歩行者と左側を通行する車がお互いに認識することによって、事故を防止する効果があります。
②標識を守る
「歩行者通行止め」の標識がある場所や、「自動車専用」の標識がある場所は、歩行者が侵入・通行することができません。「歩行者横断禁止」の標識がある場所は横断してはいけません。歩行中は標識をよく見て、ルール違反のないようにしましょう。
③横断するときのルールを守る
横断時の事故を減らすためには、横断時のルールを守ることが大切です。
横断歩道や信号機のある交差点が近くにある場合は、その横断歩道や交差点を利用しなければいけません。「歩行者横断禁止」の標識がある場所は、横断してはいけません。
横断歩道や信号機のある交差点が近くにない場合は、道路がよく見渡せる場所まで移動します。左右確認をしっかり行い、車が近づいてきていないことを確認してから渡ります。
道路交通法では、歩行者が車両の直前直後に横断することを禁止しています。車が近づいてきている時は通り過ぎるのを待ち、通り過ぎた後も他の車が近づいてきていないかしっかり確認してから横断してください。
④信号機のルールに従う
信号機のある場所では、信号機に従う必要があります。信号機が青に変わるまで横断してはいけません。青に変わっても、左右確認を怠らないでください。
信号機が青色で点滅しているときは、黄色信号と同じ意味です。青色で点滅しているときに渡り始めるのは止めましょう。横断歩道を渡っているときに点滅し始めた場合は、急いで渡り終えるか引き返してください。
押しボタン式の信号機が設置されている場所では、ボタンを押して青になってから渡りましょう。
事故防止につながる、その他の取り組み
①ドライバーに気づいてもらいやすくしよう
事故防止のためには、ドライバーに自分の存在に気づいてもらいやすくすることも大切です。服装は、目立ちやすい明るいものを選ぶようにしましょう。
夕暮れ時や夜間は視界が悪くなり、事故リスクが高まります。反射板やライトなどを持ち歩き、自分の存在をアピールしましょう。反射板は前と後ろなど複数方向に取り付けることで効果がアップします。また、反射する範囲が広いもの(襷など)の方が、よりドライバーに気づいてもらいやすくなるでしょう。
②スマホを操作しながら歩かない
歩行中にスマホを操作する方が増えています。歩行中のスマホは周囲の状況確認が不十分になり、危険が迫っていることを認識できなかったり、信号無視などの交通ルール違反をしたりする原因になります。命を守るためにも、歩きスマホは絶対に止めましょう。
まとめ
・歩行者側の違反が交通事故につながるケースもある
・歩道がある場所では歩道を歩く
・標識を確認し、指示に従う
・横断歩道や信号機付きのある交差点を利用する
・横断歩道や信号機付きのある交差点がない場合は、見通しのよい場所に移動して渡る
・車両の直前直後を横断することは禁止
・信号無視をしない
・点滅青信号のときは渡り始めない
・夜間の対策や歩きスマホを止めるなど、事故防止の取り組みも加えて行う