「未成年者の契約は、それを取り消すことができる」ということは既に述べた通りです。
では、高齢者の場合はどうなのでしょうか。
それについて見ていきましょう。
「判断能力が未熟かどうか」がキー
高齢者の契約の取り消しを行う場合は、「その人が判断能力があったかどうか」が決めてとなります。
ただ、これはなかなか難しいと言われています。なぜならば、「高齢者側が判断能力を欠いていたかどうか」を立証するのは、訴えを起こした側(被害者側)の責務だからです。
また、「契約自体は有効だったが、それを取り消しできる」というものと、「契約それそのものが無効である」という場合があります。
後者の場合は、上で挙げたような、「判断力がない人に契約をさせた」「だまして契約をさせた」などのような事例が挙げられます。
加えて、高齢者の場合、いわゆる「認知症」を患っている人の契約なども、契約自体を無効とするケースが多いとされています。
逆に、「契約は有効ではあるものの、取り消しとする」という場合は、たとえば「詐欺で契約をした」「契約するまで帰らせない、などのように脅迫して契約をさせた」「誤認させて契約をさせた」というケースが考えられます。
実際のケースについて
高齢者は若い人に比べると判断力に衰えがみられます。また、体力的にも不安があるため、相手の「押し」に圧倒されて契約をしてしまうケースも少なくはありません。
たとえば、実際にあった例として、PCデポの問題があります。
これは2015年に声が上がったものであり、高齢者には不要と思われる契約を結ばされたとされたものでした。
この契約を家族が解除しようとしたのですが、その時に、なんと20万円の支払いを要求されたというのです。
これはSNSで広く拡散され、PCデポ側が謝罪コメントを出すことになりました。
PCデポの例は、氷山の一角だと考えられています。実際にはもっと多くの事件が隠されていると考えるのが妥当です。これを完璧に防ぐことはなかなか難しいのですが、家族できちんと連絡を取るようにしましょう。また、契約はその場で決めず、一度持ち帰るようにすると安心です。
まとめ
・高齢者がした契約も、「判断能力がない」とされれば取り消しができる
・また、「契約自体は有効だが、それを解除すること」も可能である
・以前には、PCデポで問題が起こっていた
・これらは氷山の一角なので、家族で連絡を取り合ったり、一度持ち帰ったりするようにすることが必要
参考サイト
◆慈友行政書士事務所:「高齢者の生活も自己責任」