宝永大噴火って何? 知っておくべき富士山の噴火の歴史と影響(前編)では、宝永大噴火の影響や原因についてご紹介しました。
大噴火の原因となったのは、1か月前に起こった推定マグニチュード8.5を記録した大地震「宝永地震」がきっかけであることが分かりました。
大地震がいつ起こるかは、まだ予知することができません。
つまり、大地震をきっかけとした富士山の噴火がいつ起こるかも分からないのです。
そこで今回は、もしこれから富士山が噴火してしまった場合、富士山周辺や首都圏はどうなってしまうのかを検証します。
富士山噴火による周辺地域への被害
噴石・火砕流
まず富士山噴火によって周辺の地域(静岡県、山梨県、神奈川県)では避難対象者が最大75万人と推測されています。
さらに火山灰による屋内避難者は、最大890万人と推測されています。(2014年富士山火山防災対策協議会)
富士山のふもとでは噴石が降り注ぎ、多くの死傷者を出す可能性があります。
特に噴石は、火口から10キロ離れたところまで落下し、その大きさは10円玉くらいの大きさになります。
熱をまとった噴石が火災を引き起こす可能性もあります。
噴石は家や車の屋根を貫通するほどの威力なので、早急に火口から遠くへ避難することが重要です。
また火口周辺地域で最も恐ろしいのが「火砕流」です。
火砕流とは、噴火により放出された噴出物が山の斜面を一気に流れ落ちる現象です。
その速さは時速100キロまで達し、火口から100キロ地点まで到達することもあります。
日本での火砕流の事例として有名なのが、1991年に起きた雲仙普賢岳の大噴火です。
この噴火の火砕流は火口からおよそ5キロ近くまで達し、逃げ遅れた報道陣など43名もの方が亡くなりました。
富士山噴火による東京への被害
火山灰・空振
富士山噴火により、東京や首都圏はどのような影響を受けるのでしょうか。
まず考えられるのは、火山灰の影響です。
富士山の噴火によって巻き上げられた火山灰は、偏西風に乗って約2時間で東京に達すると考えられています。
宝永大噴火では、江戸(現在の東京)に火山灰が5センチほど積もったという記録があります。
この火山灰の影響で、東京の交通網がマヒし、健康被害も多く発生します。
ほかにも、火山灰によって、ケータイ電話やインターネットの回線がつながらなくなるケースも想定されています。
もしこのような状況になったら、親や友人との連絡が取れなくなって、パニックになってしまいますよね。
このように東京では噴火による直接的な死傷者は少ないと予想されているものの、インフラや通信制御、健康被害など二次被害が拡大することが心配されています。
江戸時代と比べて人口がかなり増えていますので、人々が混乱することは間違いありません。
また噴火直後には「空振」と呼ばれる空気の振動によって、建物のガラスが割れてしまう可能性があります。
東京の場合は高層ビルで多くのガラスを使用しているので、この空振によってガラスが割れて地上に降り注ぎ、多くのけが人を出してしまうかもしれません。
富士山から東京までの距離をすさまじい威力の振動が伝わってくるなんて、とても考えられないですよね?
富士山噴火後しばらくは、なるべく頑丈な建物内へと避難することが安全策であると考えられています。
日本では近い将来「南海トラフ」などの大地震発生が予想されていますが、大地震だけではなくて噴火によって避難が長引く危険性もあるということを覚えておきたいですね。
いつ来るかわからない自然災害にも対応できるよう、防災・減災の「備え」が今後ますます重要です。
まとめ
・富士山の周辺地域では、火山灰や噴石、そして火砕流の危険性がある
・火山灰の影響により、首都圏ではインフラのマヒ、通信制御、健康被害などが起こる
参考リンク
消防防災博物館「火山災害の基礎知識」
内閣府「1990-1995 雲仙普賢岳噴火」