2016年8月26日に大阪市浪速区の不動産業を営む男性が、所有する土地から出てきた不発弾を処理する際に大阪市より請求された費用支払いを不服として払い戻しを求める訴訟を行い、これに対して大阪市は国にも支払いの責任があるとして国に対して訴訟告知という裁判に加わるように促す手続きを行いました。
この訴訟の原因となった不発弾は重量2000ポンド(約908kg)という米軍が用いた大型の航空爆弾です。
これは破片が2km以上飛んでいく可能性があり第二次世界大戦中に日本軍が作成した資料でも500m以上離れなければ安全ではないと記載されています。
また、同じく8月26日には静岡県浜松市で第二次世界大戦末に米軍の戦艦から撃ち込まれた16インチ(41cm)砲弾が不発弾として見つかり、自衛隊により無力化処理されました。
不発弾処理が行われる際は危険ですので周辺住民の避難が行われますが、万が一自分が見つけてしまったらどの様にすればいいのでしょうか?
発見した時はどうすればいいの?
直ちに危険である事が分かる様にして離れて通報!
不発弾を発見した時、最初はどんな物か分からない事が殆どです。
長期間土に埋もれた砲弾や爆弾は錆び付いて朽ちたガスボンベの様に見えたり、一部しか見えなくてただのガラクタにしか見えない場合があります。
不発弾と完全に見分ける事は非常に難しいので、砲弾や爆弾の形をしていて怪しいと感じたらすぐに警察へ通報しましょう。
くれぐれも叩いたり動かしたりはしないでください。
不発弾は本来安全装置が外れて、信管という起爆装置に衝撃が伝わる事で爆発が起きる必要があるのに、何らかの原因で爆発しなかった物です。
その為、何がきっかけとなって爆発が起こるか分かりません。
爆薬は年数がたつと劣化しますが、爆発を起こす場合もあります。
欧州では第一次世界大戦に使われた100年前の不発弾が今も事故を起こしており、昔の物だからと油断する事は出来ません。
特に日本軍が使用した爆弾や砲弾は安全装置が米軍と比較して簡略な為、少しの衝撃で爆発する可能性があります。
だからと言って米軍の使った爆弾や砲弾も不発弾となったら危険である事に変わりません。
不発弾を見つけたら周囲の人に声を掛けて、危険標識を置いたり赤い布を置くなどして危険である目印をつけて下さい。
もし不発弾を持ち帰った場合は銃刀法違反となりますし、いつ爆発するか分からない大変危険な物なので、絶対に持ち帰らないでください。
通報後はどうすればいいの?
不発弾と判明したら警察や自衛隊の指示に従って避難しましょう。
不発弾があった事を通報して警察が来ると現場を隔離し、陸上自衛隊の不発弾処理隊による調査が行われます。
ここで何事もなければそのまま掘り出して廃棄して貰えばよいのですが、不発弾だった場合は処理を行う必要があります。
不発弾の状態によって動かすのも危険な場合は厳重に保護してから、その場で爆破処分してしまう場合があります。
しかし、民家への被害といった周辺への危険を及ぼしてしまうので、通常は信管を無力化する処置が行われます。
信管を無力化する方法としては大きく二つに分けられ、ひとつは信管を爆弾から抜いてしまう方法です。
古くなった信管は錆び付いて非常に抜き辛くなっている場合があり、慎重な作業が求められます。
もし信管を外す事が出来ない場合は専用の12.7mm弾を用いて、一瞬で信管を破壊する事で無力化します。
信管を無力化した爆弾や砲弾は、自衛隊が持ち帰り最終的に爆破処分を行います。
陸上自衛隊では全国で四つしか不発弾処理隊が存在しませんが、沖縄県の第101不発弾処理隊は2016年8月26日までに創設以来35,868件1,747t分の不発弾処理を行い、一度も事故を起こしていない事で知られています。
因みに海で見つかった機雷といった爆発物は海上自衛隊の掃海部隊にいる水中処分隊という専門の自衛官が爆破処理を行います。
不発弾を見つけても処理する人たちが日本には存在するので、落ち着いて警察へ通報する様にしてください。
まとめ
・不発弾を見つけたら触らない! 持ち帰らない!
・不発弾の位置を分かり易くする!
・周りに危険を知らせて警察へ通報する!
・自衛隊や警察の指示に従う!
参考サイト
◆陸上自衛隊第15旅団(第101不発弾処理隊の上級部隊)
◆不発弾の処分について(通達) 防衛省・自衛隊
◆不発弾の発見について 浜松市
◆気を付けろ爆弾だ warbirds
◆不発弾処理費、誰が出す? 請求された地主「頭真っ白」 朝日新聞
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