昨日2016年10月21日に鳥取で震度6弱の大きな地震が発生し、その前後に震度4前後の余震とみられる揺れが連続して発生しました。
気象庁によると、今後も1週間程度は最大震度6弱程度の余震が続く可能性があり、警戒を呼び掛けています。
災害時はライフラインが寸断されるため被災地では普段手に入る物が届かなくなりますが、地震による直接的な被害が深刻ではない地域でも物が不足することがままあります。
どんな物から不足していくのかを、東日本大震災で得た経験を交えて紹介します。
ガソリンの欠乏
移動に必ず使うガソリンがまず不足
東日本大震災発生から数日の間、当時は北関東に居た私が車移動すると度々渋滞に巻き込まれました。
そして、その渋滞の先頭に必ずあったのが「ガソリンスタンド」でした。
被災している場所はライフラインが復旧するまでガソリンが不足するのは至極当然ですが、被害が少なかった場所でもガソリン不足は発生していました。
北関東だけではなく都内・首都圏・東北の日本海側などでこうした現象は共通して起こっていたそうです。
原因は東北と関東にある石油精製施設が震災・津波の影響で操業中止になり、それに伴ってガソリン不足につながりました。
しかし、原因はそれだけではありませんでした。
「燃料が枯渇するかもしれない」という噂や不安から、大勢の人がガソリンの買い占めに走ってしまった事も大きな原因の一つとして挙げられています。
生活必需品の水・食糧不足
被災地では生きる為に必要な物が不足
災害派遣に行った陸上自衛隊の友人から派遣直後に「(被災地では)水がない。持って行った水でやり繰りする必要がある」という連絡がありました。
震災により水道が破壊されたのですから、被災地でしばらく水が自由に手に入らないのは当然ではあります。
しかし東日本大震災の際には交通網も完全にマヒ状態になったため、他の給水手段を被災地に届けることもままならない状況でした。
こうした事実は現地の自衛隊員のみならず、被災者の方々にとってより切実な問題として降りかかっていたかと思います。
当時テレビや新聞ではそういった水や食料・生活必需品の「不足」報道が数多く見受けられました。
東北では入浴が出来ないどころか生きる為に必要な飲料水も不足しているという情報が繰り返し報道されることで「また地震が起きたらどうしよう?」という不安を招き、全国で水の買い占めや食料の買い占めが起こるという事態を引き起こしました。
買い占めによって不足していった水や食品は全国的な品薄状態になってしまい、被災地ではさらに手に入り難くなってしまった面もあったのです。
正しい情報の不足
デマがネットワークにも影響を及ぼした
震災の時には「正しい情報」を如何にして入手できるかが避難生活においても重要なポイントになります。
岩手県陸前高田市では臨時の広報紙を作成し、避難生活に必要な情報が行き届くように努力していました。
しかし、多くの被災地では自治体の中核組織が被災し、対応が行き届かない事態となっていました。
そんな中で重要な役割を担ったのがインターネットの存在です。
特にTwitterやmixiのようなSNSサイトは、被災地の内外で多くの人々に情報交換を行う場所となりました。
一方で「デマ・流言」の出現元になってしまうという問題もありました。
今年発生した熊本地震の際には「ライオンが動物園から逃げた」という悪質な嘘の書き込みを行った神奈川県在住の男性が逮捕されるという事件もありました。
多くの情報から正しい情報だけを集める事は難しく、多角的に情報を収集した上でデマを見極める必要があります。
「友達のお兄さんから聞いた」「道で噂していた」「政府が報道を規制している情報」などの根拠に乏しい情報を鵜呑みにせず、冷静に判断する必要があることを学びました。
しかしながら、多くの人がリアルタイムの情報を持ち寄る事で、まだ助けが届いていない地域の情報がいち早く共有されるという一面もあります。
東日本大震災ではSNSを経由して何が避難所で必要か、避難所に助けが必要な人が何人いてすぐに搬送するべきかという情報が被災者から送られ、対応が進んだ事があったのも事実です。
また東日本大震災以降はNHKや気象庁なども防災のためのTwitterアカウントを本格運用し始めるなど、正確で信頼できる情報源となりうる媒体もネット上に多数出現しています。
安否確認に関してもインターネットが担う役割は大きく、電話の不通で直接連絡が取れなくても家族がいる地域の状況を知る事ができるという事は、大きなメリットです。
電話や電気が不通になるという環境でも、モバイルバッテリーで衛星回線などを利用して被災していない地域にサーバがあるSNSなどのサイトを用いて安否確認を行うという事も出来るのです。
被災した際にはインターネットなどを用いて積極的に、しかし慎重に情報を精査し収集することで大いに助かることがあります。
普段からガソリンや水・食料などを少しでも多く蓄えておくことは大事です。
十分な備えがあれば、噂やデマについ慌ててしまうことは少なくなるでしょう。
「地震が少ない地域だから」「大きい地震がきたばかりだから」と油断しないよう、普段から防災意識を高めましょう。
まとめ
- 2011年の東日本大震災時には被災地以外でもデマや流言などの原因によりガソリンなどの燃料や水・食料の買い占めが発生し、不足してしまった
- インターネットを上手に使って、正しい情報を発信・収集することが大事
- 備えが十分にあれば、デマに惑わされづらくなる