冬のレジャーが恋しい時期がやってきました。レジャーはとても楽しく気分も高揚しがちですが、ゲレンデや雪山で行われるレジャーには、事故や遭難のリスクがあることも忘れてはなりません。安全に楽しむためにも、リスクや注意点について理解を深めておきましょう。
認識・判断の甘さからくる事故を防止しよう
首相官邸のホームページは、雪のレジャーでの事故は、油断や状況判断の甘さ、認識の甘さから起こることがあると指摘しています。油断や認識の甘さが発生する背景には、「雪の怖さを知らない」「楽しみが優先されてしまう」「軽い気持ちで行ってしまう」「準備が不十分である」といった心理があるのではないでしょうか。
雪のレジャーは事故や遭難のリスクが隣り合わせです。「これくらいなら大丈夫」など甘い考えはやめて、「準備をしっかり行う」「ルールをしっかり守る」「危険な場所に近づかない」「危険な行為をしない」ことを徹底し、命を守る行動につなげましょう。
どんなことに注意すればいいの?
①天候情報に気を配る
ゲレンデや雪山などは、天候が急に変化することがあります。天気予報をこまめにチェックし、注意報・警報などの予報が出ている場合は、たとえ現在の天気が穏やかであっても、レジャーを控えるようにしましょう。レジャーの最中に天候が変化した場合はレジャーを中断し、安全な場所に早めに避難をするようにしてください。
②なだれに注意しよう
雪が積もっている場所ではなだれ(雪崩)のリスクがあります。なだれは「既に雪が積もっている場所に、短時間で大量の雪が積もったとき」「気温が上昇する春先」「雨が降った後に気温が上昇したとき」などに発生しやすいです。また、「急な斜面(30度以上)」「草に覆われた斜面」「低木林の斜面」「木がまばらに生えている斜面」なども、なだれが起きやすいと考えられています。現地の情報を事前に入手し、リスクを回避しましょう。
気象庁はなだれによる災害が発生する恐れがあるときに「なだれ注意報」を発表します。このような情報にも注意をはらいましょう。
③体調を整える
体調が悪いままレジャーをすると、ケガのリスクを高めます。少しでも不安があるときは無理にでかけることをやめましょう。
体が冷えた状態では筋肉や関節が柔軟に働かず、ケガをすることがあります。いきなり全開で行動するのではなく、「準備運動を行う」「徐々に体を動かして慣らす」など、コンディションを整えることから始めましょう。
④周囲の安全確認をしよう
スキーやスノーボードでは、人と人とが衝突する事故が多発しています。こうした事故を防ぐためにも、周囲の状況をその都度確認し、安全かどうか確かめることを忘れないでください。
⑤無理をしない・強要しない
自分をよく見せようとし、危険な技に取り組んだり無理をしたりしていませんか?このような行為はケガや事故につながります。決して無理をせず、安全に楽しむことを心がけましょう。
また、雪のレジャーが初めての人、経験が浅い人、得意ではない人もいるでしょう。事故防止のためにも、自分の能力に適した範囲で、安全に楽しむようにしてください。初心者に上級者と同じことを強要することも事故につながります。グループで行動するときは、初心者や得意でない人も安全に取り組めるコースや日程を考えましょう。
⑥準備をしっかり行う
雪のレジャーは低体温や凍傷になるリスクがあります。軽装ででかけるのではなく、雪山用のウェアや、スキー用のウェアなどを着用しましょう。また、防寒性や吸湿性に優れた衣類を使って重ね着を行い、低体温に備えます。帽子・グローブ・ゴーグル(アイウェア)・靴なども、雪に対応しているものを準備します。携帯電話をしっかり充電し、コンパスやホイッスルなど自分の位置を把握したり知らせたりするものも準備しましょう。
雪のレジャーに必要なものは、どのようなレジャーを行うかによって変化します。自分の思い込みや軽い気持ちで準備するのではなく、インターネットを使って調べるなどして、必要なものを揃えてから出かけましょう。
⑦道中に潜むリスクへの対策を行う
レジャーにでかけるときは、道中の安全を考えることも必要です。車で移動する場合は、「スタッドレスタイヤにはきかえる」「チェーンを準備し、必要な場所では装着する」といった準備を行いましょう。
天候によっては通行止めの区間が発生したり、予定していた道が封鎖されたりすることもあります。最新の天気予報・道路交通情報をチェックしてください。
積雪量や道路状況によっては、渋滞が発生したり、立ち往生したりすることもあります。こうした事態に対応するために、毛布・食料・簡易トイレなどのグッズも準備しておきましょう。
まとめ
・雪のレジャーでの事故は、油断や認識の甘さから発生することがある
・天候情報を常にチェックし、早めに判断を行う
・なだれが起こりやすい条件を理解し、なだれ災害に注意する
・体調不良のときは無理に出かけない
・周囲の安全確認を行い、自分の能力に適した行動を心がける
・雪のレジャーに必要な装備をしっかり準備する
・道中のリスク回避にも気を配ろう
参考サイト
◆首相官邸「雪害では、どのような災害が起こるのか」
◆モンベル「雪山装備基本ガイド」
◆防仁学「冬のドライブ 車が立ち往生した時のために備えておきたいグッズとは」
◆防仁学「凍結路面に注意! 冬場のスリップ対策」