罰則の強化や痛ましい事故の報道、店や警察の啓蒙活動、そして運転手自身らの意識により、飲酒運転で検挙される人間の数は年々減っていっており、飲酒運転の死亡事故件数も飲酒運転事故発生件数も右肩下がりに下がっていっています。
「自分で自覚すれば、100パーセント防ぐことができる」という特性を持つ飲酒運転は、本来ならば0件にならなければおかしいものです。
しかし制度改革や意識改革によって、飲酒運転の発生件数が下がってきているのは喜ぶべきことです。
ただ、問題もあります。
それが、「アルコール濃度からみた検挙率」です。
発生件数は減っていっているものの…
上でも述べたように、飲酒運転の発生件数も飲酒運転による死亡者の数も、年々着実に減っていっています。現在は下がり幅が小さくなったとも言われていますが、それでもピーク時の半分(データによっては3分の1)にまで減ったのは喜ぶべきことでしょう。
1990年代も計算に入れれば、飲酒運転を原因とする死亡事故の発生件数の低下率は驚くべきものです。
ただ、気にかかるデータも出ています。
それが、「捕まる人間の酩酊度合」です。
酩酊状態で検挙される人間の比率は増加傾向にある
少し古いデータではありますが、2005年に飲酒運転で検挙された人間の「アルコール濃度」を調べたデータがあります。
2005年の段階では、アルコール濃度が低濃度の人間と高濃度の人間の割合はほぼ等しく、「少しお酒に酔った状態」で捕まる人も多くいました。
しかし罰則が強化されていくに従い、低濃度で検挙される人の割合は少なくなっていっています。毎年この数字は変動していき、2014年の段階では2005年の7分の1程度になっています。
それに対して、高濃度の状態で検挙される人間の数は2008年あたりからほぼ変化がありません。
この結果、「飲酒運転で検挙される人間の数は減っているが、高濃度で検挙される人間の割合は増えている」という状態に陥っています。2014年の段階では、高濃度の検挙者が全体の67パーセントを占めています。
あくまで推論の域を出ませんが、罰則強化などを受けて、「ちょっとだけなら良いだろう」と考えていた人の多くは自重するようになったと考えられます。
しかしお酒を飲んで運転することが日常化している人間は一定数存在しており、彼らはまったく自重することもないため、このような結果になったのではないでしょうか。
まとめ
・飲酒運転の事故や死亡事故、検挙者は減っていっている
・高濃度で検挙される人間の割合は増えていっている
参考サイト
◆毎日新聞:「飲酒運転:悪質化 酩酊状態、9年で15ポイント増」