昨今、日本のあらゆるところで大規模災害が発生しています。
災害はいつどこで遭遇するか誰も分かりません。
改めて、救急医療と災害医療の違いについて考えてみませんか?
救急医療とは?
搬送されてきた個々の患者に対して、最良の結果が求められてくるのが救急医療です。
医材や器材など原則すべて使えることが前提になっています。
最良のパフォーマンスが求められてきます。
これが災害医療になると、個々の患者における治療は制限を受けてしまうのです。
災害医療とは?(以下、患者を傷病者とします)
災害が発生すると最大限の傷病者を救命することが第一となってきます。
そのため個々の傷病者における治療が制限されてしまうのです。
災害医療は傷病者の数と医療資源のバランスが大きく崩れてしまいます。
限られた医療資源の中で、最大限のパフォーマンスを発揮していく必要があるのです。
災害医療の3原則(3T)
・Triage トリアージ
・Treatment 治療
・Transportation 搬送
災害時、治療の優先順位は第一が生命です。
機能の変化や美容関連は後回しです。
たとえ腕や足に損傷があっても、生命に異常がなく大量の出血がない限り、トリアージの優先順位は下がってきます。
また、女性は髪が命といわていますが、たとえ髪が全部抜けていても、生命に異常がなければ、美容関連の優先順位は下がってしまうのです。
需要と供給が逆転する状況になってしまうのが災害医療です。
医療資源と医療需要の関係に逆転現象が起きてしまうことを考えれば、トリアージの過酷さは測り知れないものです。
被災者の健康問題
避難所生活により生じる主な健康問題をあげてみます。
被災者は突然の災害により、心身ともにストレスに拍車がかかります。
生活の場が自宅から避難所に変化したことで、予測しない健康問題が発生してきます。
・感染症の問題(感冒、インフルエンザ、肺炎、膀胱炎、下痢など)
避難所は密接な環境になりやすく、不衛生に陥る危険性があります。
水不足も感染症の問題と深く関連してきます。
・深部静脈血栓症(車中泊に多い)
下肢の血液循環を良くするために、足の運動や歩行、ストレッチなとが効果的ですが、現状は深刻さを増しています。
・生活不活溌病の問題
高齢者に多く発生してきます。
慣れない避難所生活で日中の活動性が低下し、予測しない健康問題が発生してきます。
医療スタッフはあらゆる問題を想定して、避難所アセスメントシートや災害診療記録などを活用しています。
ニーズを最小化し医療資源を最大化にしていくのが災害医療です。
個別の備えとして今できること
医薬品やおくすり手帳、簡単な衛生材料を普段から備えていくことは、自分を守ることにもつながっています。
まとめ
・災害医療は医療資源が限定される
・災害時の治療の優先順位:生命>機能>美容
・医薬品やおくすり手帳などの事前準備