2017年8月29日及び9月15日に、北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、日本上空を通過しました。北朝鮮による軍事行動が活発化する中、日本ではミサイルが発射されると全国瞬時警報システム(通称J-ALERT・Jアラート)が起動し、対象となる地域に警戒を呼び掛けています。
ニュースを中心にJアラートという言葉をよく耳にしますが、具体的にどのような仕組みなのか解らないことも多いですよね。そこで今回は、Jアラートの仕組みと意義について解説しますので、この機会にJアラートへの理解を深めておきましょう。
Jアラートの仕組み
Jアラートとは全国瞬時警報システムのことで、時間的に余裕の無い危機が迫っていることを、国民にいち早く伝えてくれる警報システムのことです。
警報は「内閣官房(有事情報)」や「気象庁(津波警報等)」から発令され、消防庁を経由し、市町村の防災行政無線等を自動的に起動させて、国民に伝えられます。Jアラートの情報は、国民一人ひとりには「防災行政無線(屋外スピーカー・戸別受信機)」「ケーブルテレビ」「コミュニティFM」「登録メール」「エリアメール」「緊急速報メール」といった形で伝えられます。
Jアラートというと北朝鮮弾道ミサイル関連のニュースと結び付けられがちですが、「緊急地震速報」「津波警報」「噴火警報」「気象等の特別警報」など、災害に関する緊急情報も素早く伝えてくれます。Jアラートは防衛に関する情報だけではなく、様々な危険を瞬時に知らせ、避難を促してくれる警報システムであるということも、あわせて覚えておきましょう。
北朝鮮弾道ミサイルが飛んできた時、Jアラートはどんな情報を教えてくれるの?
北朝鮮から弾道ミサイルが飛んできた時、Jアラートはどのような情報を教えてくれるのでしょうか。ミサイルの発射が確認されると、初めに「ミサイル発射情報(北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたという情報)」と「避難の呼びかけ(身を守るために建物や地下に避難する呼びかけ)」が伝えられます。その後はミサイルの通過や落下場所によって、伝えられる情報が変わります。主に次の三つに分けられます。
・直ちに非難することの呼びかけ
・ミサイル通過情報
・ミサイルの落下場所等の情報
命を守るため、思わぬ怪我をしないためにも、ミサイルが発射されたという第一報はもちろん、ミサイルが通過したという情報や、落下場所の情報にも耳を傾けておきましょう。
Jアラートの意義とは
北朝鮮弾道ミサイルによる攻撃は、ミサイル落下地点の範囲外に避難することにより、命が助かる確率が格段に上がると考えられています。また、事前に「窓など破損の恐れのある物から離れる」「机の下に入って落下物から身を守る」といった行動を取ることによって、怪我の危険から身を守ることができます。
ミサイルはミサイルそのものが落下しなくても、通過中に落下物が落ちてくる危険があります。Jアラートの情報に耳を傾け、「外を出歩かないようにする」「建物の中に入る」といった対策を取ることはとても大切です。ミサイルはいつ飛んでくるかわかりません。危険をいち早く伝え、避難や身を守る行動を促してくれるJアラートには、十分な意義があると言えるのではないでしょうか。
Jアラートは有事情報以外にも緊急地震速報や津波速報など、災害の危険も呼び掛けています。迫りくる数々の危機から自らの命・大切な人の命を守るためにも、Jアラートの情報に耳を傾けて行動するようにしましょう。
まとめ
・全国瞬時警報システム(Jアラート)は、様々な危機が迫っていることを、国民にいち早く伝えてくれる警報システムのことである
・Jアラートの情報は、「防災無線」「テレビ・ラジオ」「メール」などの形で国民に伝えられる
・北朝鮮から弾道ミサイルが発射された時は、「ミサイル発射情報」「避難の呼びかけ」「ミサイル通過情報」「ミサイル落下情報」などの情報が提供される
・迫りくる危機を伝え、命を守る行動を促す点において、Jアラートは意義深いシステムである
参考サイト
◆内閣官房 国民保護ポータルサイト「北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合における全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達について」
◆総務省消防庁「全国瞬時警報システム(Jアラート)の概要」