みなさんはじゃがいもの芽や皮の一部に、微量の毒素が含まれていることをご存知でしょうか。下準備を間違うと、毒素によって食中毒になる危険性があるので注意しなければなりません。特に、家庭菜園で育てている場合、じゃがいもに日が当たることによって毒素が含まれている部分が増えてしまうので注意が必要です。
危険な一面があるものの、じゃがいもにはビタミン類やカリウム、食物繊維が豊富に含まれており、栄養価が高い食物のひとつ。クセがなく、食べやすいので子どもから大人まで幅広い年齢層に好まれていますよね。また、和洋中のどの料理にも合うので、食卓に並ぶことも多いはず。
正しく調理すれば、食中毒になるリスクを回避できます。今回は、じゃがいもの芽や皮の危険性と、安全に調理する方法をご紹介いたします。
じゃがいもの芽や皮に潜む危険性について

じゃがいもの芽や緑色の皮の部分には、ソラニンやチャコニンと呼ばれる毒素が含まれています。ソラニンやチャコニンは、ナス科に多く含まれる天然毒素です。日光や蛍光灯が当たると毒素が増えます。また、じゃがいもを傷つけたり、未成熟なものや苦味があるものは毒素の濃度が高くなるので注意しましょう。
これまで、じゃがいもの芽や緑の皮を取り除かずに食べたことが原因で食中毒になるケースが恒常的に起きています。いくつかの事例を見ていくと、2015年1月22日に奈良県内の小学校で、51名のうち31名がソラニンを摂取したことにより吐き気や腹痛などの症状が表れました。このときは、校内で栽培したじゃがいもを粉ふきいもにして食べたとのことです。
他にも、2010年7月16日に東京都内の中学校で29名のうち9名に嘔吐や頭痛などの症状が表れました。こちらも栽培したじゃがいもを茹でて食べています。
ソラニンやチャコニンを過剰に接種すると、数分後から数日後に症状が表れます。主な症状は気持ちが悪くなり、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、めまい、呼吸困難など。重症化すると、神経障害や視覚障害が起き、最悪の場合命にかかわる事態になるのです。
じゃがいもを食べてから、上記のような症状が出たらすぐに医療機関を受診しましょう。子どもの場合、健康的な成人よりも少ない量で症状がでると言われているので要注意です。
じゃがいもを安全に食べるためには

じゃがいもを調理するときは、芽や皮を十分に取り除いてから食べましょう。ソラニンやチャコニンは、約170℃で加熱しない限り大きく分解されません。つまり、一般的な加熱処理では中毒を回避することができないのです。毒素が含まれる部分を取り除き、食べないことが1番の予防策となります。
緑色になっていない皮にも微量の毒素が含まれているので皮は全て剥きましょう。
じゃがいもを購入するときは芽が出ているものや、皮が緑色のじゃがいもを選んではいけません。未成熟の小さいじゃがいもはソラニンやチャコニンの濃度が高いので、成熟したじゃがいもを選ぶことも大切です。
また、長期保管すると芽が出てしまうので、必要な量を購入したらできるだけ早く使うようにしましょう。じゃがいもは冷蔵庫で保管するよりも、室温が10℃程度の暗い場所で保管するのが好ましいとされています。
じゃがいもは年中店頭に並んでいますし、どのような料理にも合うので常備野菜として保管している人も多いはず。日常的に料理に使う野菜には危険がないと油断してしまいがちですが、取り扱い方ひとつで危険な食べ物に変わります。
豊富に栄養素が含まれているじゃがいもを安全に調理して美味しく食べましょう。
まとめ
・じゃがいもの芽や緑の皮の部分にはソラニンやチャコニンが含まれる
・ソラニンやチャコニンを一定量以上接種すると健康被害が生じる
・加熱処理では毒素が消えないので取り除くことが1番の予防策
・じゃがいもの芽が出ているものや皮の色が緑色になっているものは購入しないこと
参考サイト
◆農林水産省「ジャガイモによる食中毒を予防するために」
◆農林水産省「ソラニンやチャコニンの加熱調理による影響」
◆東京都福祉保健局「食品衛生の窓」