2011年東日本大震災、2016年熊本地震。
ほんの数年の間に狭い日本のあちこちで、大きな地震がたびたび発生しています。
このような事態に危機感を感じ、何か対策をしなければ! と、防災グッズを準備したり、水や食糧を常備するようになったお宅も多いのではないでしょうか?
しかし、これでいつ地震が来ても大丈夫、と安心していませんか?
実は防災グッズや食糧を備えただけで「地震対策」ができていると安心するのは、ちょっと危険な考えです。
では、地震への備えとして最も優先すべきこととは、一体何なのでしょうか?
過去の震災のデータから紐解いていきましょう。
大地震の瞬間、危険なもの
どんな目的で備えをするのか? を知る
そもそも、私たちはなぜ地震への備えをするのでしょうか?
それは当然、「命を守るため」ですよね。
では実際に大地震が起こった時、命を落としてしまう原因となるものは何でしょうか?
実は、この原因こそが、地震への備えの最も重要なポイントです。
1995年の阪神淡路大震災。
この震災で失われた命は、6,434名。
そして、そのうちの約85%は、倒壊した家屋や転倒した家具の下敷きになり、地震発生後15分以内に死亡していたのです。
この事実から、大地震が起こった瞬間に命を脅かす最も危険なものは「大地震に耐えられない家屋」と「転倒する大型家具」であるといえます。
建物の倒壊は二次的な被害も生む
さらに、家屋や家具の下敷きになってしまった場合は、その場では命が助かったとしても、火災や津波から逃げ遅れてしまうという危険性もあります。
阪神淡路大震災で死亡した方々の死因は、建物の倒壊や家具の転倒による圧死・窒息死のほか、火災による焼死も10%ほどありました。
自宅の中でタンスや家屋の下敷きになり、逃げられないまま焼死したと考えられています。
また、倒壊した建物が道路を塞いでしまい緊急車両が通行できなくなったり、避難経路を絶ってしまうというケースもあります。
このように、建物が倒壊することで「逃げられない状況」や「救助できない状況」を生み出してしまい、地域全体の被害を拡大してしまう恐れもあるのです。
優先すべき地震対策
まずは耐震診断と家具の固定を!
このような過去の事例から、
(1) 耐震性を持った家屋に住むこと
(2) 家具を固定すること
この2つが、命を守る備えとして最も重要で効果的といえます。
まず「自分の命を守ること」を意識した備えをする。
次に「命をつなぐ」備えをする。
これが、「備えの優先順位」です。
それでは、自分の家が耐震性を持っているのかどうか、どのように調べればよいのでしょうか?
まずは、家が建てられた時期で見当をつけることが可能です。
お住まいが1981年(昭和56年)5月以前に建てられたのであれば、耐震性が保たれていない可能性が高いと思われます。
1981年6月、法律で耐震基準が変わったためです。
もしもお住まいがいつ建てられたのかが分からない場合は、自治体等に相談し、簡易診断を受けてみましょう。
また日本建築防災協会のホームページでも、インターネット上で簡単な診断を行うことができます。
参考リンク:「誰でもできるわが家の耐震診断」
耐震性のチェックと同時に、寝室や子ども部屋など長時間使用する部屋から大型家具を固定しましょう。
固定が難しい場合は、家具が倒れてもベッドや椅子など人が居るところに直撃しない位置、かつ、出入口をふさがない位置に配置を変えるだけでも効果的です。
「地震への備え」とは「命を守る」ための行動であり、自分の家や家具を凶器にしないことが大切であるということがおわかりいただけたでしょうか?
まずは、ご自身の住まいを地震に負けない建物とし、自分自身とご家族の命をしっかりと守れる備えをしていきましょう。
まとめ
・大地震への備えとは、「自分の命を守るため」の備えである!
・備えの優先順位のトップは、家屋の耐震補強と寝室などの大型家具の固定!
出典
内閣府 防災情報のページ 阪神・淡路大震災教訓情報資料集阪神・淡路大震災の概要
神戸新聞NEXT 震災特集データ
内閣府 防災情報のページ 阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】人的被害
死者を減らすために 阪神・淡路大震災の経験に学ぶ 国土交通省 近畿地方整備局 震災復興対策連絡会議