国が予算をかけて公開している防災サイトは、たくさんあります。ですが、そのほとんどが、知られていないのが現状です。今回ご紹介する「リアルタイム河川情報」もその一つで、カテゴリとしては国土交通省の川の防災情報に属します。ライブカメラなど詳しい情報は、国土交通省が管轄する一級河川のみとなりますが、今現在の河川の水位を調べたり、ライブカメラで河川の状況を確認したりすることもできます。水位観測所だけのデーターなら、二級河川や普通河川の情報も確認が可能です。
川の様子を見に行って命を落とす方がいる現状
台風や前線の影響で大雨が降ると、川の水位が上昇してきます。川の水が溢れるのでは無いかと気になって、増水した川を見に行ってそのまま川に転落。命を落としてしまう方が、毎年いらっしゃいます。このような事故を防ぐためにも、紹介するシステムを活用して頂きたく思います。
一級河川の水位が危なければ、他の河川も同様に危険
「だけど、一級河川だけしか確認できないよね!」「家の近くの河川は二級河川だから意味ないよね」そういわれる方も多いのですが、それは違います。一級河川は「国土保全上または国民経済上特に重要な一級水系」に属する河川です。この一級河川の水位が上昇しているなら、同地区の二級河川や普通河川の水位も同じように上昇しています。ですから、自宅付近の一級河川の様子を知ることで、ほぼ全ての河川の状況も把握できます。さらに、二級河川や普通河川でも観測所のデーターだけなら、確認が可能となっています。なので、ホントに小さな河川以外の川なら、大雨時の水位を知ることが可能なシステムなのです。
「リアルタイム河川情報」で把握できる川の情報
それでは「リアルタイム河川情報」で、何を知ることができるのかを紹介しましょう。
水位観測:各河川に設けられた水位観測地点での、川の水位を確認できます。地図上の「水位観測」のアイコンをクリックすると「河川横断図・水位グラフ・河川カメラ・詳細情報」が画面右側に表示されます。スマホの場合は、ポップアップ的に別画面で表示され、文言も「断面図・グラフ・カメラ・観測値」となります。どの水位観測所でも確認できるのは「グラフと観測値」で、「断面図とカメラ」情報は、表示のない個所もあります。
断面図から現在の水位がよくわかる
断面図を見ると、現在の川の水位がよく分かります。断面図には堤防の高さも表示されているので、堤防までどのくらいで水が到達するのかを視覚的に把握することができます。さらに、「堤防天端からの高さ」情報が数字で表示されているので、ここの数字が0に近づくほど危険となります。
水位グラフは断面図の水位をグラフ化したもの
水位グラフからも、堤防と川の水位との関係が分かります。縦軸が「堤防天端からの高さ」で、横軸が時間です。縦軸の0m地点に、グラフが近づくと危険となります。
詳細情報は時間軸で水位が分かる
PC版の詳細情報では、別画面が表示されて「横断図・水位グラフ・観測値」の情報を一画面で確認できます。スマホ版では、時間経過ごとの水位を一覧表で見ることができます。通常何もない時には1日に1回データーが更新されますが、大雨時には10分毎に水位が表示されます。
ライブカメラは現時点と平常時を画像で比較できる
ライブカメラは川に行かなくても、現時点での川の様子を画像で確認できます。また、平常時の昼間の画像があるので、比較することで、現在の川の危険度を知ることができます。
ダム諸量で現在のダムの貯水量と放流量が分かる
各河川にある、ダム施設の情報も確認できます。現在の貯水量・ダムに流れ込んでいる水の流入量・ダムから放出している放流量も分かるので、大雨時のダムの状況を把握できます。自宅付近にあるダムがあれば、この情報からダムを監視することで避難するタイミングを、予測することも可能になります。
レーダー雨量や浸水想定区域も確認可能
「リアルタイム河川情報」では、現時点でのレーダー雨量も表示されるので、雨の強さを知ることができて、さらに、洪水ハザードマップの浸水想定区域を表示させて、自宅や気になる地点の危険度を知ることもできます。
全国の川の状況を確認することができる
「リアルタイム河川情報」は、全国の河川の状況を確認することが可能です。九州に居ながら、北海道の川の状況も確認可能です。例えば、北海道に両親が住んでいて、パソコンもスマホも持っていないとしましょう。自分たちは九州に住んでいて、「リアルタイム河川情報」を確認することができます。北海道で大雨が降り続き、両親宅の近くを流れる川の状況を、九州で確認して危険だと分かれば、両親に避難を勧めることが可能となります。
「リアルタイム河川情報」は、自分だけでなく離れている親しい人への注意喚起にも利用できるメリットがあるのです。
まとめ
・「リアルタイム河川情報」は国土交通省が公開している
・一級河川ならライブカメラなどさまざまな河川の情報を知ることが可能
・二級河川や普通河川でも水位観測所地点の水位を知ることができる
・全国の河川を確認できるので、離れている親しい人に危険度を知らせることも可能