潮干狩りは春から夏にかけて楽しむことができる鉄板レジャーですよね。自分で一生懸命採った貝を食べることを楽しみにしている方も多いでしょう。
潮干狩りで採取した貝を食べる時は、「貝毒」による被害に気を付けましょう。貝毒はアサリなどの二枚貝が持つ毒のことで、場合によっては命にかかわる健康被害をもたらします。潮干狩りを安全に楽しむためにも、この機会に貝毒について理解を深めておきませんか?
貝毒とは
二枚貝は植物性プランクトンを餌にしていますが、有毒な植物性プランクトンを食べた二枚貝は、その体内に毒を蓄積してしまいます。貝毒とは有害なプランクトンを食した二枚貝が毒を蓄積することを言い、人が毒を蓄積した貝を食べた時に起こる食中毒症状を貝毒と呼ぶこともあります。
二枚貝は常に毒を持っているわけではありません。貝毒の原因となる有毒なプランクトンを食べていない二枚貝は、貝毒に汚染されている心配はありません。一度毒を蓄積した貝であっても、海域から有毒なプランクトンがいなくなると、体内から次第に毒が排出されていくことがわかっています。また、スーパーなどで販売されている二枚貝は貝毒の検査が行われており、基準値を上回る貝毒が検出された貝は出荷規制されます。したがって市販の二枚貝には、貝毒の心配はほとんどないと言えるでしょう。
貝毒はアサリ・ホタテ・カキ・ムラサキガイとった二枚貝の他に、ホヤ、フジツボ、イシガニ、トゲクリガニなど、プランクトンを餌とする生き物に蓄積されている可能性があります。
貝毒の種類・症状はどんなものがあるの?
貝毒は「麻痺性貝毒」「下痢性貝毒」「神経性貝毒」「記憶喪失性貝毒」の4種類に分けられます。日本国内で確認されているのは「麻痺性貝毒」と「下痢性貝毒」です。
麻痺性貝毒は食後30分以内に発生します。症状は舌や唇の痺れから始まり、やがて全身に広がっていきます。重症化すると言語機能や運動機能にも麻痺が見られるようになり、呼吸困難になって死に至ることがあります。
下痢性貝毒は食後30分から4時間以内に発生し、下痢・嘔吐・吐き気・腹痛などの症状を引き起こします。下痢性貝毒では死亡例は見られず、概ね3日程度で回復します。
貝毒にならないためにはどうしたらいいの?
貝毒は熱に強いことで知られており、貝毒を持つ貝を十分に加熱したところで毒性が消えることはありません。また、貝毒に汚染された貝と汚染されていない貝とを比較すると、見た目・鮮度・味ともに変化がありません。貝毒は見た目や調理法によって判別・無毒化することはできないことから、貝毒に汚染されている貝を食べないようにすることが大切と言えるでしょう。
潮干狩り場の付近で貝毒の原因となる有害なプランクトンが発生した場合、各都道府県はホームページや報道機関を通じて注意喚起を行います。潮干狩りに行く時は都道府県のホームページに必ず目を通し、貝毒の発生情報をチェックするようにしましょう。
まとめ
・貝毒とは二枚貝などが毒を蓄積する現象のことである
・貝毒に汚染された貝を食べると、食中毒症状を起こすことがある
・貝毒による食中毒症状は2種類あり、場合によっては死に至ることがある
・潮干狩りに行く前に、各都道府県のホームページで貝毒の発生情報を調べる