夏休みになると海外旅行に行かれるという方も多いのではないでしょうか?
観光庁の発表する2015年に日本を出国した人の数は約1,621万人になります。
しかし、海外旅行は危険がつきものです。
2009年10月30日に覚せい剤4.6kgを不正に持ち込んだ容疑で日本人がマレーシア国税関当局に逮捕され同国の法律により死刑判決を受けました。
2015年10月16日には上告が認められず、死刑が確定しています。
本人は知人に頼まれた荷物に覚せい剤が入っていた事を知らなかったと答弁しており、逮捕以前の出入国経歴に不審な点があるものの、意図した犯行ではなかった可能性もあります。
同様の危険は普通の旅行者でも起こり得る話で、家族が対象となる事もあります。
海外旅行を行う時の、麻薬に絡んで逮捕される危険を避ける方法をご紹介します。
海外旅行で犯罪被害を受ける事例
メルボルン事件に学ぶ教訓
海外旅行をする時に、日本人と聞くと「知り合いに荷物を渡して欲しい」という頼み事をする人がいるかも知れません。
しかし、そのお願いを聞く事は非常に危険です。
例えば荷物をカバンごと渡されたとします。一見すると言われた通りの本等が入っている様に見えますが、実際には二重底となっていて奥に麻薬が隠されている場合があります。
気が付かないうちに運ばされ、無罪を立証しようにも証拠の確保が難しい為、国によっては死刑判決を受ける場合もあります。
不審な荷物は絶対に預からない様にしましょう。
例え荷物を受け取る気が無くても強制的に持たされる可能性もあります。
1992年オーストラリアのメルボルン空港でマレーシアを経由してきた日本人旅行客らがヘロイン所持により逮捕されました。
彼らはマレーシアのクアラルンプールにて旅行鞄を盗難され、ガイドから新しいスーツケースが渡されていました。
そのケース内が二重に加工されており、内部からヘロインが出てきたという流れです。
この時に旅行を企画した男性が、元暴力団員である事から空港で詳しく検査が行われ発覚した事件ですが、旅行者のうち2名を除く5名が逮捕され裁判の末、有罪となりました。
この時、日本政府は内政干渉となる為、積極的な処置を行う事が出来ませんでしたが、1998年に当時行われた裁判が適切な通訳などに欠き、国際連合が定める自由権規約という人権を守る為の国際規約に違反するという、国連規約人権委員会に対する個人通報が行われ、2006年までに全員が仮釈放され帰国しました。
例え、本人が認識していなくても処罰される可能性があると覚えておきましょう。
海外旅行での危険を回避する方法
不審物はすぐに警察へ
麻薬の運び屋とならない様にするために一番注意する必要があるのは、海外で受け取った不審な荷物は必ず中身を確認する事です。
もし、怪しいと感じたら警察などに届け出ましょう。
その時、はっきりと自分の所有物ではなく渡された物という事を明白にする必要があります。
また、現地の治安情勢が良くない場合は、現地の日本大使館に連絡して相談する様にしましょう。
語学力に不安があり、充分な説明が出来ないと思ったときも相談する方が確実です。
海外旅行に行く際は、日本大使館・総領事館の連絡先を必ず確認して控えておくようにしましょう。
出来る事なら不審物を渡されそうになったらキッパリと断る事が大切です。
しかし、意図せず持つことになる可能性もあるので、事件に巻き込まれたと感じた時点で旅行の中止と解決に向けた相談を行う事をお勧めします。
不審物を持たせようとする人物は謝礼金やお土産などの甘い言葉で誘惑してくるかも知れませんが、都合の良い話に惑わされず海外旅行で楽しい思い出を残して帰りましょう。
まとめ
・海外旅行で麻薬を持たされて逮捕される事例がある
・無罪の立証は非常に難しい
・不自然に思う事が起きたら大使館に相談しよう
参考サイト
◆外務省 海外安全ホームページ|海外安全パンフレット・資料 海外で困ったら
◆外務省 海外安全ホームページ|重要なお知らせ 海外における薬物犯罪