日本は男女ともに平均寿命が80歳を超え、超高齢化社会に突入しています。
元気で長生きする方ばかりではなく、高齢化社会にともなって認知症の問題も他人事ではありません。
大切な家族だから、最期まで住み慣れた我が家で暮らしてもらいたい、願わくは我が家を終の棲家にしたい、そう考えるのは自然なことです。
しかし、その過程には想像を絶する介護の過酷な現状が待ち構えているともいわれています。
一生懸命に認知症介護を頑張っている家族さんほど、燃え尽きてしまうものです。
そんな在宅介護を見極める限界について少し触れていきましょう。
孤立した在宅介護
介護生活に突入すると、主介護者だけに負担がかかり、周囲にいる人たちの協力を得られずに孤立してしまう場合があります。
理想はプロの介護者を含めて多くのサポート態勢があるのが理想です。
しかし、理想と現実のギャップにのまれ、精神的にも肉体的にも主介護者だけに負担がかかってしまうケースが多々あります。
これまで仲の良かった兄弟姉妹でさえ、親の介護生活が突入した途端、敬遠の仲になってしまうことさえあるのです。
一昔前までは、親の面倒をみるのは子供の義務?的なことがうたわれていましたが、昨今そのような風潮は少なくなっており、その分社会資源が手厚くなってきました。
金銭的な問題
介護生活に突入するとそれなりの費用がかさみます。
社会資源が手厚くなってきたとはいえ、無料で奉仕している訳ではありません。
介護者に十分な蓄えがある人ばかりではありませんし、人によっては年金や貯蓄に頼る生活になってしまう場合もあります。
子供が親の介護を担う場合の費用などは、親自身の貯蓄や年金から賄っていくことが理想です。
これは後々、相続のトラブルの原因となることも多いことから、費用の面は少しシビアになっても良いことでしょう。
昨今「老後生活2000万」とうたわれていますが、この中には介護費用は含まれておりません。となると、いったいどれだけの老後資金が必要になるのでしょうか?
働きざかりの40~50代の内から、自身の老後についてきちんと考えていかなくてはいけませんね。
在宅介護の限界を見極める
上で説明したことを踏まえて、在宅介護の限界を考えてみます。
自身の生活スタイルを介護生活オンリーにしないこと
介護離職をした人たちが口を揃えて訴えていることの一つに、介護生活オンリーになると、孤立した状態から抜け出すことが難しいことを上げています。
これが介護に限界を感じることにつながっていきます。
悩みを打ち明ける相手がいないこと、介護の重圧からますます孤立した状態に陥ってしまい、精神的にも肉体的にも余裕がなくなってしまうのです。
ケアマネジャ-は介護者の救世主
認知症介護は実に過酷で並大抵にはいきません。
だからこそ、認知症専門に特化したケアマネジャーを味方につけることで、介護の負担が軽減されてきます。
介護の専門家へ相談することで、現状の生活から打破できることもあります。
施設への入居も視野に入れる
大切な家族だからこそ、安心して預けられる施設にお願いしたい、それは当然のことです。
在宅介護の限界を見極める一つに施設入居もあります。
施設といっても千差万別です。
老人ホームから介護関連施設、サービス付き高齢者住宅、グループホームなど多岐にわたります。
在宅介護の限界を迎える前に、本人が望む納得した施設探しを同時にしていくことは、けして悪いことではありません。
施設へ入居になったことで、これまで悪化していた家族関係が修復できた、そんなケースも多々あります。
当事者にとってもそして介護者にとっても、お互いが良好な関係でいられるためには、施設入居という手段も検討してみる価値は大いにあります。
認知症介護は言葉では説明できないほど、本当に過酷で苦労の連続です。
毎日一生懸命に介護を頑張っているあなたに届けたい、少しでもお役に立てれば幸いです。
今回で認知症シリーズは完結いたしますが、折をみて認知症関連の記事をこれからも書いていくつもりです。
まとめ
・在宅介護の過酷な現状を知る
・在宅介護は孤立しやすいため周囲の協力態勢が必要
・精神的にも肉体的にも主介護者だけに負担がのしかかる
・介護生活は費用がかさむ
・親の介護費用の捻出は親自身の貯蓄や年金から出す
・老後資金2000万の中には介護費用は含まれていない
・在宅介護の限界を見極める
・施設入居はお互いにとって最善の打開策にもなる