今年も神奈川県横須賀市走水の小原台にある防衛大学校にて「開校記念祭(以下、開校祭)」の時期が近付いて来ました。
例年11月中旬の土日に開催されており、今年は「飛躍」をテーマにして11月19日(土)20日(日)の両日、行われます。
開校祭では様々な行事が行われますが、テレビ等にも取り上げられ有名な行事に「棒倒し」があります。
今回は防衛大学校出身の筆者が、横須賀にある防衛大学校の概要と開校祭のイベント内容・見どころについてご紹介します。

防衛大学校HPより
防衛大学校とは
学生は国家公務員
防衛大学校は昭和29年(1954年)4月、防衛大学校の設立に尽力された故・吉田茂氏の「将来の日本を率いて行くリーダーを育成するためには、自主自立の精神のもと風光明媚かつ首都に近い場所で教育を行うべき」との思いから、神奈川県横須賀市久里浜の仮校舎で開校されました。
翌、昭和30年には横須賀市走水にある小原台の高台の本校舎に移転し、現在に至ります。
学生の身分は「特別職国家公務員」として採用されます。
全員が学生舎に居住し、被服・寝具・食事などが貸与又は支給されるほか、毎月学生手当が支払われます。
また、平成4年からは、学士としての学位が授与されるようになりました。
学生は全寮生活を送りますが、一般の寮生活とは異なり、朝6時の起床から夜22時30分の消灯まで、分刻みの規則正しい生活を行っております。
カリキュラムは一般の大学の課程に加え、自衛隊幹部として必要な防衛学と訓練を実施します。
ちなみに学生は必要な単位を修得できない場合、成績が理由で1回、疾病が理由で習得出来なかった時は1回だけ留年を認められていますが、それでも単位を修得出来ない場合は退校処分となります。
一般的な大学よりは、かなり厳しい規定です。
防衛大学校を見学して驚く事は、食堂の広さです。
これは故・吉田茂氏の「学生が一同に会して食事が出来るように」との思いから全学年2,000名が入れる広さとなっており、昼食だけは毎日学生隊週番の号令で始めています。
学生生活は1学年から4学年、陸海空要員が混在した4つの大隊に分かれ生活していますが、年間を通じて各種競技会で競い合っています。
2学年主体のカッター(短艇)競技、3学年主体の断郊競技、開校祭で行われる「演劇」「装飾」そして「棒倒し」等があります。
開校祭の見どころ
見どころ1:訓練展示
11月19日(土)11時30分から陸上競技場で訓練展示が行われます。
防衛大学校の学生は2学年進学時に陸海空の要員に分かれます。
訓練展示は陸上要員が主体となり、模擬の戦闘訓練を行います。
今年は陸上自衛隊から「榴弾砲の支援射撃」や「ヘリからの人員降下」、更に「10式戦車の展示」もあるそうなので楽しみですね。
弾の発射音で驚かれる方もおられるかも知れませんが、使用している弾は全て空砲との事で安心して見学できます。
見どころ2:観閲式
11月20日(日)11時から陸上競技場で観閲式が行われます。
学生隊本部から始まり、4個大隊の学生が指揮刀や小銃を携え指揮官の号令のもと、一糸乱れずに行動する様は統制された美しさと力強さが感じられます。
天候が良ければ陸海空自衛隊の航空機が編隊で祝賀飛行を行います。
また「自衛隊音楽祭り」でご覧になられた方もおられると思いますが、防衛大学校の儀仗隊によるファンシードリルも計画されています。
見どころ3:棒倒し
11月20日(日)15時から陸上競技場で棒倒しが行われます。
棒倒しは旧日本海軍の江田島兵学校から引き継がれている伝統行事です。
150名が1つのチームとなり、チーム内が攻撃と防御に分かれ、先に相手の棒を倒した方が勝利となります。
それぞれの大隊の名誉をかけた伝統行事であり、現在は4個大隊で争うため1日で良いのですが、筆者が学生だった頃は5個大隊あったため土曜日に予選を実施しておりました。
実際に競技が始まれば怪我をする学生も皆無ではなく、「傷害罪」に問われるのではと心配される方もおられると思います。
がしかし、先輩の立場としては伝統行事の一環であり、刑法第35条の「正当行為」として「罪とならず」と解釈したいと思います。

防衛大学校HPより
他にも、校友会(クラブ)活動の発表会や招待試合等、盛沢山行われます。
詳しくは防衛大学校のホームページをぜひご覧ください。
まとめ
◆防衛大学校は神奈川県横須賀市走水の小原台にある
◆今年の防衛大学校開校祭は11月19日(土)20日(日)に開催される
◆「開校祭」はどなたでも自由に見学出来る
参考サイト
平成28年 開校記念祭 防衛大学校