海での水難事故で怖いのは、やはり「溺れること」です。このような現場に居合わせたときはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、「水難事故の基本編」に続いて「水難事故の応用編」として、「海で水難事故がおきた! おぼれている人を、どうしても自分たちで助けにいく必要が出た時の場合」についてみていきます。
基本は「水に入らないこと」
ドラマなどのシーンで、「人がおぼれているのを発見した人が、自分もとびこんで助けに行く」というものがあります。
しかしこれは大変危険です。おぼれている人、しかもパニックになっている人を助けることは訓練した人であってすら難しく、ミイラとりがミイラになる可能性さえあります。
そのため、原則としては、「救助する人の方は水に入らないこと」が求められます。
道具をうまく使い、助け出すようにしましょう。これが、海などで事故にあった時の基本です。
それでも自分たちで助けに行く必要が出たら?
119番には連絡したけれど来てくれるまでもつかわからない、しかし近くに有効な道具もない、夏場だから服の量もそれほどなくて服をつないでロープ代わりにすることも無理だ・・・・・・
このようになったときに初めて、「自分たちで助けにいく」という選択肢がでてきます。
このときに有効になるのが、「ヒューマンチェーン(「人の鎖」)」という考え方です。
これは海などでの事故の際に極めて有効な考え方です。人間同士で手をしっかりとつなぎ合い(つながれる方も、つないできた人の手首を握る)、人間の鎖を作る、というものです。この状態で助けにいけば、「つないだ腕」がロープ代わりになるというわけです。
この方法は、「お互いの手を結びあう」ということから、単純に「片方が片方の手をつなぐとき」よりも安全で、信頼がおけるつなぎ方として知られています。
これも難しい、どうしても泳いで助けに行かなければならないという場合は、必ず浮輪などを持っていくようにします。まったく何の手立てもないなかで人を助けるのは、それを仕事とする人であってすら困難なのです。要救助者を増やさないためにも、必ず「安全な救助」を心がけましょう。
まとめ
・おぼれている人を救助する場合は、原則として海に入らないようにすることが重要
・どうしても、という場合は「ヒューマンチェーン」を作って救助にあたる
・ほかの手立てがまったく考えられないという場合は、119に連絡して、浮輪などの道具を使って助けに行くことになるが、危険であることをよく熟知すること
参考サイト
◆独立行政法人国立青少年教育振興機構「川でおぼれた人を助けるには」
◆ヤフーニュース「溺れる人を助ける方法:飛び込む勇気を冷静さに変える・溺れる人は静かに溺れる:水難事故を防ごう」
◆防仁学「おぼれた人を助けるためにできること ~ 海での事故(その1)基本編」