「過労死」が、業務によって人の命が奪われる事態を指します。
ある人は心臓疾患で、ある人は脳疾患で、またある人は追い詰められて精神を病んだ結果として自死を選びます。
このような「過労死」は幾度となく話題に上り、そして幾度となく裁判も行われてきました。
ここでは、「過労死にいたる割合」についてみていきましょう。
労災認定と過労死について
「過労死」は、労災のなかでももっとも重大な結果をもたらすものです。
ただ、幸いにして、「労災と認定はされたが、死亡にはいたらなかったケース」ももちろんあります。
たとえば、「精神障害で労災と認定された数」は、2017年には506件となっています。そのなかで死にいたったケースは98件です。年によって多少のばらつきはありますが、おおよそ、労災と認定された数:自死にいたったケースの割合は、5:1程度になっています。
脳や心臓疾患にかかる件数もみていきましょう。この場合、労災と認定されたケースは精神障害のときよりも少ないのですが、死亡割合は高くなっています。
たとえば2017年の場合は、労災と認定されたケースは253件であるのに対し、死にいたったケースは92件となっています。死にいたったケースのおよそ1.5倍程度が「労災認定されている数である」と考えるとよいでしょう。
労災の実際、過労死の実際
労働は生きるためにするものですから、本来過労死は「1件たりとも起きてはならないもの」です。
明らかに労働の量が多いにも関わらず、職場がその是正に積極的ではなく、また亡くなった後に御遺族と会社側で長い争いが行われるケースもあります。
過労死であったと認められるためには、まずは労災であったという認定を受ける必要もあります。
ただ一方で、「適切な業務形態であったにも関わらずさまざまな事情で一家の大黒柱が自死を選んだ家庭に対し、御家族の申し出を受ける前に会社側が『労災である、過労死である』として処理をしてはどうか」と申し出たというケースもあります。過労死であるとされれば、御家族の今後の金銭的な負担を軽減することができるからです。
もっともこのようなケースは、非常にまれだといえるでしょう。
まとめ
・労災と認定されたうちのどれくらいが死にいたるかは、精神疾患か脳・心疾患かによって異なる
・本来過労死は一件たりとも起きてはならないものである
・裁判によって長く争うことになるケースもあるが、温情措置がとられるケースもゼロではない