新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延は、ある人からは仕事を奪い、またある人には多くの労働を課すものとなりました。ただ、新型コロナウイルス(COVID-19)が蔓延する前から、業務過多は人を追い詰め、また人を死に追いやるものとして改善すべきものだと考えられてきました。
今回はこの「過労死」を取り上げます。
過労死とはどのようなものか
過労死とは、簡単に言う のであれば、「限度を超えた長時間労働や残業を強いられた結果として訪れる死」のことです。
「ごく短い期間(3日間など)だけ残業が非常に多くなった」などのようなことは、どこの職場でもありうることです。しかし過労死を招くような仕事形態の場合、このような状況が慢性的に、あるいはある程度長期間にわたって続くことが多いといえます。
過労死だと認められる割合については別の記事に譲りますが、一般的に、月に80時間を超える残業が「過労死ライン」とされています。もちろん、「月に79時間までなら過労死は起きない」「月に81時間の残業があったら過労死する」といえるものではありませんが、これがひとつの目安となるのはたしかです。
ごく単純に計算すれば、1か月の稼働日数を20日として、毎日4時間、本来の勤務時間と合わせて12時間、1日の半分を会社に拘束されていると考えられます。実際には通勤にかかる時間もありますし、また過労死ラインを超えるような仕事形態が慢性的に続く場合は休暇などがないこともよくあります。このため実際の「自由時間」「プライベートの時間」はさらに少なくなるでしょう。
過労死と認定されるのは、「身体に起きた症状」だけではない
もう一つ押さえておいてほしいのは、「過労死と認定されるのは、身体に起きた症状(異常)だけではない」という点です。
過労死を招くものとして、心不全や脳疾患などが挙げられます。これらは体の内側から起こり人の命を奪うものですが、それ以外にも、「業務に追い詰められた結果として精神障害を患い、その結果自ら命を絶った場合」も過労死であると認められます。
新聞などで、若い人などが過労自殺をしたという記事を見たことがある人もいるでしょう。
過労は、文字通り命を奪うものです。
そのため国もさまざまな対策を講じており、実際に、過労死は減っていっています。
まとめ
・過労死とは、業務過多による死亡のこと
・基準として「1か月の残業時間が80時間を超えること」となっている
・身体的な異常による死だけでなく、精神的な疾患による自殺も過労死と認められる