消防庁「平成28年版消防白書」によると、平成27年度中に起こった住宅火災の件数は11,102件にのぼり、914名の方が亡くなっています。火災は身近で起こる災害です。万が一の時に逃げ遅れないようにするためにはどうしたらよいのか、この機会に考えてみましょう。
火災報知器を設置する

火災で命を落とさないためには火災の発生をいち早く知り、火や煙が拡大する前に消火する・逃げることが重要です。火災の発生を知るために役立つのが火災報知器です。消防庁の調査によると、住宅用火災報知器を設置している場合は、設置していない場合と比較すると、死者の発生が4割減っています。つまり、火災報知器を設置することによって、逃げ遅れによる死亡リスクを下げることができるのです。
火災報知器には電池の寿命や、部品劣化による寿命があります。政府広報オンラインは火災報知器の説明書に従って定期点検を行い、正しく作動するかどうか確認するよう呼びかけています。また、もし電池が切れていて、なおかつ設置から10年以上経過している場合は、本体ごと交換することが望ましいとしています。
逃げ遅れを防ぐためにも火災報知器の定期点検を実施し、いざという時にきちんと作動することを確認しておきましょう。
煙に気をつける
煙には一酸化炭素が含まれています。大量の一酸化炭素を吸うと、数分から数十分で死に至ることがあります。横浜市消防局によると、焼死者の多くは煙を吸い込んで意識不明になり、逃げ遅れてしまうことが多いようです。逃げ遅れないためには、煙を吸い込まないようにしながら避難することも大事と言えるでしょう。
煙は下から上へと移動するため、低い姿勢で逃げるようにしましょう。この時にハンカチやタオルなどで口を覆い、煙を吸い込まないようにしてください。
持ち物をもたない・戻らない

火災から逃げる時は命を守ることが最優先です。持ち物を探している間に火や煙が充満し、逃げ遅れてしまった事例があります。火災が発生した時は持ち物にかまわず、いち早く逃げてください。
また一度避難した後、貴重品や家財道具が心配になってしまうことが予想されます。ですが、火災現場に戻ったことが原因で亡くなった方がいます。一度避難したら絶対に戻らないでください。
日頃から避難経路を確認しておく

火災が発生するとパニックになる可能性があります。いざという時に落ち着いて行動できるようにするためにも、日頃から避難経路を確認しておく必要があります。
まず、会社や学校など長時間過ごす場所・施設の非常口や避難経路を確認しましょう。避難訓練に積極的に参加するのもいいですね。ホテルやデパートなどの商業施設などを利用する時も、非常口の場所をチェックしておくと安心です。
続いて「自宅で火災が発生した時にどのように逃げるのか」という点についても考えておく必要があります。自宅の間取りや導線を図に書きだし、避難経路となる場所を考えましょう。雲南消防本部は、方向の異なる2つ以上の逃げ道を決めておくことが大事だとしています。日頃利用している出入り口以外に、いざという時の逃げ道を考えておいてください。避難経路を決めた後は、そこに避難の妨げとなるものを置かないようにします。
もし2階の窓から避難しなければならない時は、「シーツを縄梯子にする」「布団やマットレスなどを地面に投げ落とし、その上に飛び降りる」などの方法があります。緊急時はこうした避難方法も有効であることを覚えておいてください。
まとめ
・逃げ遅れ防止のため、火災報知器を設置する
・煙を吸わないようにする
・持ち物はもたず、また一度避難したら戻らない
・避難経路や避難方法を確認しておく
参考サイト
◆総務省消防庁:「平成28年版 消防白書」
◆総務省消防庁:「住宅防火関係 火災報知器を設置しましょう」
◆政府広報オンライン:「逃げ遅れを防ぐために。 住宅火災から命を守る7つのポイント」
◆横浜市:「火災からの避難」
◆雲南消防本部:「火災から命を守る10のポイント」