新築住宅への火災報知器の設置が義務付けられたのは、2006年のことです(一部自治体では2004年から)。その後、5年間の猶予期間ののち、2011年からはすべての市町村で既存住宅への設置も義務付けられました。
なお、意外に思われるかもしれませんが、火災報知器の設置が義務付けられているところはメインで火を扱う「台所」ではなく、「寝室」「階段」です。ただし、これ以外の場所への設置を義務付けている自治体もあります。
今回はこの「火災報知器によってもたらされた安全」に注目して解説していきます。
火災報知器を設置している住宅では、さまざまな損失が半分程度になっている
火災報知器の効果を示すものとして、消防庁が出したデータがあります。
このデータでは、「火災報知器を設置していないところと、火災報知器を設置しているところ」の被害状況を比較しています。なお、データは平成29年~令和元年までのものです。
これによれば、火災報知器を設置していなかったところに比べると、設置していたところの死者数は11人から5.3人と、0.48倍になっています。
また同様に、「焼損床面積」を比べた場合は、設置していなかったところでは63.4㎡であり設置していたところでは30.9㎡と、0.49倍になっています。
損害額も大きく抑えられ、設置していなかったところでは324万円であったのが、せっちしていたところでは196万2000円と、0.61倍になっています。
いずれをみても、火災報知器が設置されているか設置されていないかで、被害は倍ほども変わってくるのです。
住宅火災は決して他人事ではない
「そうはいっても、自分の家が火事になる可能性は極めて低いだろう」と思う人もいるかもしれません。
しかし令和元年に起きた火災のうちの、約30パーセントは住宅で起きています。
さらに注目したいのは「死者数」です。同データによれば、火災によって死亡した人のうちの約70パーセントが住宅火災を原因としています。
こちらの火災件数や死亡者数は、放火や放火自殺を含んだものですが、それでも「人がいるところで起きる火事」がいかに恐ろしいかが分かります。
上のデータとこの数字を見れば、その設置がいかに重要かがわかるでしょう。
まとめ
・火災報知器を設置しているかしていないかで、「死亡者数」「焼損床面積」「損害額」は倍ほども異なる
・火災のうちの30パーセント程度が住宅で起きており、火災による死亡者のうちの70パーセント程度が住宅火災を原因としている
・上記をみても、火災報知器の設置が非常に重要であるとわかる