「起きろ~!」「避難するぞ!」と深夜、家中に響き渡るお父さんの叫び声。
突然の大声に寝ていた小学生の太郎君・花子ちゃんが飛び起きる。
手慣れた動作で素早く着替え、非常持出専用バッグを背負う。ライト付ヘルメットをかぶる。玄関を出てすぐの家族合流点で一旦停止。「太郎・花子、準備よし!」と両親に報告。「よし出発!」の掛け声とともに家族全員で避難開始…
というような緊急避難の場面を想像してみました。この一家のようにできれば模範的です。
そこで、ご家庭の子どもさんが、いざという時に素早い動作ができるようにするため、普段生活を活用した「防災日常トレーニング」について紹介します。
寝る前の準備(数分程度)と普通の時間に起きた直後から服を着替えて屋外に出るところまでに限定した「素早い動作の生活習慣化」とも言える基礎訓練の一例です。
寝る前の準備と確認を習慣付ける。
震災が起きた時、最初の対応に影響を及ぼす準備と確認の大切さを理解してもらうため、寝る前に次のことを習慣付けます。
①起きた後、すぐ着られるように衣服を準備し、その状態を確認します。
②非常時携行品を専用バッグに入れて準備し、その状態を確認します。
③ヘルメットや手袋などの装着品を準備し、その状態を確認します。
④玄関の靴をすぐ履ける状態にして整頓し、その状態を確認します。(※雨の時の長靴も準備)
⑤寝室から玄関までの通路を確認します。(※移動の障害となる物は無いかな?)
⑥他に、必要と思うことや気付いたことを準備して確認します。
以上のことを起きた後の行動の流れを想像(イメージ)しながら、「どこに」・「何を」・「どのように」準備すれば「素早く」・「抜けなく」できるかを考えるのがポイントになります。
また、大雪や大雨など季節や天候に応じて準備することは言うまでもありません。
このように「自分で考えて準備する」ことも大切な訓練の一つです。
起きた後の動作をスピードアップさせる
起きた後、着替えてから屋外へ脱出するまでの動作をスピードアップするため、次のことを習慣付けます。
①着替え動作を意識的に速くします。
※自分なりの「早着替え術」を考え、毎日の着替えで練習します。
②着替えた後、非常時携行品(専用バッグ)を背負って玄関へ行き、靴を履き、屋外へ出ます。この流れを「慌てず」、「安全に」、「素早く」行動できるようにします。
また、照明が使えない暗闇の中、地震で家具が散乱している時や、火災で煙が漂う中などの悪条件も考えて、その時の対策も同時に考えておくことも必要です。
※時間的に余裕があれば、トレーニングが終わってから避難経路の確認を兼ねた「防災散歩」などを組み入れるのもよいと思います。
時間測定(タイムチェック)して成果を確認する。
トレーニング成果の確認と次回に向けた改善や創意工夫の資とするため、「着替え動作」と「脱出行動」について時間を測ってみます。
①着替え動作については、「完了目標タイム」を決めて定期的に測ってみます。
②朝起きてから外に脱出するまでについては、動作や行動に慣れてきた段階で「総合タイム」として定期的に測ってみます。
子どもさんが目に見える形で成果を確認(実感)することにより、トレーニングを続ける意義が理解できる上、積極的に取り組む姿勢を養うことも期待できます。
災害はいつ起こるかわかりません。明日からでもできるところから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
・「日常トレーニング」による素早い動作の生活習慣化
・朝起きた後の動作と行動をイメージした寝る前の準備と確認
・朝起きた後の着替え動作と屋外脱出行動のスピードアップ
・定期的なタイムチェックによる成果の確認と改善