「海でおぼれる」という言葉を聞くと、多くの人が、「足のつかないような深いところで、水を飲みこんでしまったのだろう」と考えがちです。
これももちろん痛ましい水難事故ですが、水難事故は、このようなところだけで起こるわけではありません。
非常に浅い川などでおぼれることもあるのです。
用水路で起きた「はまりこみ」
「用水路」をご存知でしょうか。
さまざまな目的でひかれているこの水路は、物によって大きさが異なります。
ただ、幅が60センチ、深さがわずか15センチしかないような用水路で人がおぼれて亡くなった、というニュースがありました。
用水路のそばで足を滑らせた場合、水深が浅いことが仇となって、直接コンクリートに頭をぶつけて意識を失ってしまうことがあります。
また、意識を失わないまでも、転んでしまってその用水路にはまりこむことがあります。
「浅いのだから立てるだろう」と思う人も多いと思われますが、人間の体が「柵」になってしまい、本来は流れるべき水の流れが頭のあたりでせきとめられてしまいます。こうなると、起き上がろうとしても、水の圧力で立ち上がることができず、そのまま溺死してしまう可能性があるのです。
川の「流れ」はとても怖い
これは私自身の体験談ですが、私自身も、足首程度までしかない川でおぼれたことがあります。
とても浅い川で遊んでいたとき、うっかり足を滑らせてしまったのです。その時点ですぐに立ち上がればよかったのですが、川の流れは意外なほど早く、どんどん体が流されていきました。
岩につかまろうとしても、激しい流れで顔にどんどん水が襲い掛かってきますし、岩から私の手をはがそうとしてきます。
また、流されれば流されるほどにパニックになってしまって冷静な判断ができなくなりましたし、深さも深くなっていきます。
結局自力で立ち上がりましたが、川はかなりのトラウマになりました。
これは、私が子どもの頃の話です。また、このときは親がそばにいて、夏場で、川の流れも非常に穏やかに見えた状態のときでした。後で親に聞いたところ、「遊んでいるのだと思っていた」「まさか、そんな浅い川で事故が起こるなんて考えてもいなかった」という答えが返ってきました。
浅い川での事故の原因は、本人も周りの人間も危機意識に乏しい、ということにもあるのでしょう。
まとめ
・人は15センチの深さのところでもおぼれる
・周りに大人がいても事故は起こる
・穏やかな川でも、「流れ」があるのでたやすくおぼれる
参考サイト
◆NHK「なぜ? 小さな用水路で死亡事故」