「地震」というと、プレート活動による地震や、活断層による地震が有名ですよね。一方で、噴火などの火山活動に伴って地震が発生することをご存じですか?
地震と火山活動にはどのような関係性があるのでしょうか。過去の被害なども参考にしながら、火山が原因で発生する地震の注意点について考えてみましょう。
火山性地震とは
火山性地震は、噴火やマグマの移動などの火山活動に伴って火山やその周辺で発生する地震のことで、噴火に伴って発生するものと、火山内部の活動によって発生するものとにわけられます。
噴火に伴って発生する地震は、「爆発地震」と呼ばれる地震が特徴的です。爆発地震は、マグマの内部に溶けていた気体や水が膨張して岩石を破壊し、溶岩や火山ガスなどが噴出する噴火に伴って発生します。
火山内部の活動に伴って発生する地震は、大きくわけて振動の周期が短く、比較的深い場所で発生するA型地震と、振動の周期が長く、比較的浅い場所で起こるB型地震にわけられます。
過去の被害は?
火山性地震は、それによる直接的な被害は少ないものの、過去には人的被害・物的被害が出たこともあります。
1792年に起こった島原大変肥後迷惑では、雲仙岳の火山活動に伴う火山性地震と、眉山の山体崩壊を起因とする大規模災害により、1万5000人の被害が発生したとされています。
1914年に発生した桜島大正大噴火では、噴火発生から約8時間後に推定震度6弱の地震が発生し、死者・行方不明者が約30名発生しました。
1983年に三宅島噴火に伴って発生した地震では、噴火前後に101回の有感地震が発生し、最大のものはマグニチュード6.2・震度5の揺れを観測しました。この地震では、けがをする方はいなかったものの、高いところから物が落ちたり、ビンなどが割れたりする被害が発生しました。
注意したいこと
大きな揺れを伴う火山性地震では、物が落ちる・倒れるなどの被害が発生することがあります。頭部を守る、家具の下敷きにならないようにするなどの行動・対策を取るようにしましょう。
火山体によっては、火山性地震が頻発するときは、噴火が発生する予兆ではないかとする説があります。火山性地震が頻繁に観測されるときは、身近にある火山の動きに敏感になり、十分な備えを行うことも大事と言えるでしょう。気象庁は、火山性地震や火山性微動と呼ばれる微弱な振動などのデータを分析し、「噴火警戒レベル」を発して、火山体周辺に住む住民や登山者に注意を呼び掛けています。細菌の事例では、2021年10月20日に阿蘇山が噴火した際に、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げました(2021年11月18日に再びレベル2に下げられました)。このように、噴火警戒レベルが変更されることによって、入山禁止や危険な場所への立ち入り制限などが行われます。安全にレジャーを楽しむためにも、登山やレジャーに行くときは、気象庁や行政が発する情報などを注意深く収集し、指示に従いましょう。
まとめ
・火山性地震は、火山活動に伴って発生する地震のこと
・過去には人的・物的被害が発生したことがある
・火山性地震が観測されるときは、火山に関する防災情報にも気を配ろう
参考サイト
◆気象庁「火山性地震・火山性微動に関する用語」
◆気象庁「噴火警戒レベルの説明」
◆地震調査研究推進本部事務局「火山性地震」