「火事から逃げる」といっても、その逃げ方は、階層によって大きく異なります。
今回は、「2階にいるときに火事が起きた時にどう逃げるか」ということを考えていきましょう。
1階以外で火事に巻き込まれる、ということ
出火場所がどこかにもよりますが、「2階で火事になる」ということは、1階にいるときに火事になるよりも多くのリスクを背負っています。
まず、避難経路が遠くなるということ。
「玄関扉」を避難経路として選ぶ場合、多くの住宅では、「1階にいるときよりも、2階にいる方が避難経路が遠くなる」と言えます。また、煙は上に向かってあがっていきます。
人間が階段を上る速度の10倍近くの速度で煙が上がってくるため、階段からの避難自体が危険になることもあります。
しかし、だからといって、何の準備もなく飛び降りてしまえば、それもまた大けがの原因となりかねません。
多少のけがならば煙に巻かれるよりはましかもしれませんが、けがをした結果、火事から逃げ遅れるという可能性もあります。
布団などを投げて安全に避難を
ただ、2階の場合、高層階で火事にあった場合とは異なり、「飛び降りて逃げること」が避難手段の1つとなり得ます。
一番理想なのは、縄ばしごなどを使って逃げることです。ただ、冷静さを失っていたり、これが見つからなかったり、ということもあり得ます。
その場合は、布団などを窓から投げ落としましょう。
布団がなければ、マットレスなどの柔らかいものでも構いません。
これらを数枚投げ落とし、そこをめがけて飛び降りるのです。2階程度の高さであるならば、これらのクッション材によって多くの衝撃が吸収されます。
煙にいったん巻かれてしまうと、体が動きにくくなります。また、冷静な判断力も視界も奪われます。
この状態になると、2階からの避難も困難を極めることになります。
火事が起きてから逃げられるまでの間に存在する「猶予」は、決して長くはありません。
火が2階の天井部分に及ぶまでには、わずか7分程度の時間しかかかりません。「ほかの部屋に燃え広がるまでの時間」というくくりで考えれば、これはわずか5分程度だと考えられています(いずれも木造の場合)
「逃げる」と決めたのならば、とにかく避難経路の安全を確保し、「2階からの飛び降り」も視野にいれて速やかに逃げましょう。
まとめ
・2階で火事にあうと、煙が階段をあがってくるリスク・避難口まで遠くなるリスク・飛び降りてけがをするリスクが発生する
・飛び降りる前には、クッション材などを窓から投げて着地地点の安全を確保すること
・煙に巻かれると冷静な判断力と、行動力が失われる
・木造住宅の場合、5分もあれば延焼する。とにかく早く逃げるのが大事