「火事になったときの逃げやすさや逃げ方は、自分がどこの階層にいるかで決まる」ということは、よく知られていることでしょう。
今回は「高層階にいるとき」をテーマにお話ししていきます。
高層階で火事が起きた時の怖さとは
高層階が立ち並ぶ都心部で火事が起きた時、その混乱や被害は甚大を極めます。
その理由はいくつかありますが、1つめに挙げたいのが、「消防署のはしご車が対応できる高さは、意外なほどに低い」ということです。
はしご車で消火活動にあたった場合、その対応限度となるのは13階くらいまでだと言われています。つまりそれ以上になると、はしご車での対応は難しいと考えられています。
空から水を降らせたとしても、その効率は、消防車によるものよりも劣ると言われています。
消防法で守られていると言われていますが、その「守られ方」はあくまで「建物の外部」の強さにとどまります。内部がまったく焼けない、というわけではありません。
煙は、人間の足の速度の10倍もの速さで駆け上ってきます。そのため、階段が煙突の役目を果たし、高層階にまであっという間に煙を運んでしまうこともあります。
さらに、2階にいる場合とは異なり、「飛び降りて逃げる」という選択肢も使えません。
日ごろの準備が非常時に生きる
電気系統がストップしてしまう可能性も高いため、火事のときにはエレベーターで逃げることはできません。
そのため、高層階で火事に見舞われた際に逃げる方法は、「避難用のハッチを使ってはしごでおりる」という方法が選択肢に入ってきます。この周辺には物を置かず、いつでもすぐに逃げられるようにしておくことが重要です。
ちなみにこの避難ハッチは多くの場合、両端の部屋のベランダに設置されています。それ以外の部屋にいるときに火事に巻き込まれたのならば、速やかにベランダに出て、隣の部屋とのベランダの間にある板をためらわずにぶち破って避難しましょう。
階段を使う場合は、避難階段を使います。高層階で巻き込まれたときは、上でも挙げた「煙」の問題が顕著に出ます。しかしこの避難用の階段ならば、煙が侵入してこないように作られているので安全性が高いと言えます。
まとめ
・高層階で火事が起きた場合、はしご車での対応が難しい
・2階とは異なり、「飛び降りて逃げる」という選択肢が使えない
・煙はたやすく登ってくる
・逃げるときは避難用ハッチを使う。自分の部屋のベランダにない場合は、ためらわずに横の部屋との仕切りを破って、ハッチがある部屋に急ぐ
・非常用階段を使って逃げる。エレベーターは使ってはいけない
参考サイト
◆sakura:「マンションの高層階、火災時に安全に避難するための5つのポイント」
◆東スポWeb:「高層マンション火災の恐ろしさ 専門家が警告"危険度A”」
※編集部追記
避難用ハッチは、防犯の観点からロック機能付きのものもあります。イザという時にロックを外せるように、防火点検の機会等を活用して、ハッチの開け方を確認しておきましょう。