2016年の7月26日にあった障碍者施設での連続殺人事件の様に、大きな施設で事件があると、警備会社と契約していたのか? その時何をしていたのか? といった疑問が話題になる事があります。
しかし、警備という仕事がどういう仕事で、どんな権限があるのか知らないという人は多いのではないでしょうか?
警備の種類や規則を通して、警備員の姿に迫ってみました。
同じ警備員でも種類がある
警備員と言われて思いつきやすいのは、制服を着てビルの入り口などで立っている人が思いつくかと思います。
しかし、一言に警備員と言っても、役割によって資格も異なってくるのです。区分で分けてみました。
一号警備業
これは「施設警備」と言われる警備員の職種になります。ビルの入り口に立っていたり、施設に常駐して監視、警備する仕事です。トラブル等があった時に真っ先に駆け付けて対応したり、災害があった時に避難誘導をする事もあります。常駐しない場合もあり、その時は車両で施設を巡回する「巡回警備」や、防犯カメラ等で監視センターから監視し何かあったら駆け付けるという「機械警備」もこの種類の警備員となります。
機械警備は警備員が常駐・巡回しないので、複数の施設をまとめて監視する事も出来る為、今後も増えていく事が考えられます。ただ、常駐警備と違い何かがあった時に駆け付けるという方法の為、駆け付けた時には不審者に逃げられていたという事もあります。あくまで何かがあった時に被害が大きくならないようにする、早期発見とダメージコントロールに重きを置いた警備です。その為、「駆け付ける時間も25分以内に警備員が付くよう努力する」という努力義務が、後程書く警備業法に記載されています。
二号警備業
「雑踏警備」と言われる職種で交通誘導警備もこの区分に入ります。工事現場で車の誘導をしたり、イベント会場で列の誘導やトラブルに対応しているのが、この種類の警備員です。
ただ、彼らが行う誘導は警察が行う交通整理と違って法律的な強制力を持たないのも特徴です。ほとんどの警備会社はこの二号警備を行っており、警備業界の7割以上は二号警備業の許可を受けた警備会社と言われています。
三号警備業
貴重品の護送等を行う警備員で、「輸送警備業務」と言われる種類の警備です。貴重品以外には火薬や放射性物質といった危険物を護送する事もあります。比較的頑丈な車で現金等の貴重品を護送します。過去の1968年に警官を偽って現金輸送車を停車させて現金を盗難した三億円事件のような事例がある為、特に規則も厳しく定められています。
四号警備業
「身辺警護」と言われる業務で、一般的にはボディガードと言われる人を直接危険から守る仕事です。法律で持てる武器や防具は特殊警棒や防刃チョッキなどに制限されており、身分も民間人で特別な権限はないので、護衛対象の人が危害を加えられないようにするには、どうすれば良いかに重点が置かれます。その為、比較的武術や体格に優れた人が多いのが特徴です。
どの様な規則があるの?
上に書いた中でも少し出てきた様に、警備業ではそれぞれの規則があります。
しかし、警備業全体で共通して言える大原則とも言える規則があります。
それは、1972年7月5日に執行された警備業法という警備業全般とそれぞれの業務のルールを定めた法律に記載されていますので抜粋します。
警備業法第3章警備業務(警備業務実施の基本原則)第15条警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。
つまり、警備員には特別な権限は存在しないので、他人に命令したり強要する様な事はしてはいけませんという事です。
勿論、施設に入ってくる不審者が危害を加えてきたりして、止む負えなく戦う必要がある時もあるでしょうし、その為に施設警備や身辺警護では一部武器の携帯が許可されています。
しかし、それは正当防衛や緊急回避といった法的に他に手段がないから仕方なくやりましたと言える時にしか使えないという事です。
警備業法では各種警備業の規則等を定めており、今後も新しい警備方法が出来たら改正されていくと考えられています。
例えば機械警備は1966年に現在のセコムが「SPアラーム」という機械を開発して始めた方法ですが、警備業法に含まれたのは1982年に改正され機械警備業務管理者という資格が設けられたのも一例です。
一言に警備といっても様々な職種がありますが、やる事の違いこそあるものの彼らも民間人と同じで、警察のような権限は一切持っていません。
しかし、それを理由に警備員の指示を無視するという事はしないで下さい。
警備員の仕事は安全を守るにやっているので、危険がないのに指示を出している訳ではありません。
普段、立っていても気にしない存在かも知れませんが、貴方の安全を守る為に頑張っている警備員の事を、たまに思い出してあげて下さい。
日々の安全を互いに協力して守りましょう。
まとめ
・警備員には様々な種類がある
・警備員に特別な権限はないが秩序維持のために指示を守る事が必要
参考サイト
◆警視庁警備業統計データ(平成27年)
◆警備業法全文