「不動のものだ」と思われている「法律」も、実はときどき改訂がなされています。古い時代に作られた法律は、現在の倫理観や状況と照らし合わせてみたときに、必ずしもそれに適合したものではない、ということがあるからです。
今回は、2017年の7月に改訂された新しい法律について見ていきます。
法律の改訂、どんなところが変わった?
2017年の7月に、実に1世紀以上ぶりに、性犯罪に関する法律が変わりました。
実は今までの法律では、男性の被害者に対しての規定が薄かったのです。男性も強姦の被害者になりうるにも関わらず、女性ならば強姦事件にあたるような被害であっても、強制わいせつや準強制わいせつという判断にとどまっていたわけです。
ちなみに「強制わいせつ」と「準強制わいせつ」の違いですが、前者は脅迫などを伴うものもしくは13歳未満の児童に対してわいせつ行為をした場合(合意があってもダメ)、後者は相手が抵抗ができない状態や抵抗するのが難しい状態(泥酔状態など)で犯罪に及んだ場合を言います。しかし、量刑の点では2つに違いはありません。
また罰則も、「強姦や準強姦は3年以上の懲役刑、さらに死傷させた場合は5年以上の懲役刑」とされていました。
また、これは被害者を守るという観点からでもあるのですが、性犯罪は親告罪とされており(1対1の場合。複数人が犯した罪は非親告罪)、被害者が訴えなければ事件化しませんでした。
どんな風にかわったの?
しかし新しくなった法律では、男性に対する強姦事件もまた、「強制性交等罪」とされ、女性に対する強姦事件と同様の重みをもって裁かれることになりました。
さらに罰則も強化されました。今までは「3年以上」とされていましたが、最低でも5年以上の懲役刑が課せられるようになったのです。
加えて、親告罪ではなく、非親告罪となりました。これには賛否両論があるのはたしかです。被害者が望んでいなかったとしても、検察側で起訴することが可能になってしまったからです。
しかし今までは、「半年以内に告訴しなければ、二度と(同一事件においては)犯罪者を告訴できなくなる」などのデメリットがありました。しかしこれが取り払われたことで、1年、2年経った後でも告訴が可能になったのです。
加えて、「監護者わいせつ及び監護者性交等」の法律が制定されました。
今までは、「13歳以上ならば、脅迫や暴行を伴わず、かつ相手が抵抗できる状態において行ったものであるならば、罰則は課せられない」としていました。
しかし、親などのように、「脅迫や暴力を伴わずとも、相手を支配できる立場」にある人間からの性犯罪は、厳しく罰せられるようになりました。
まとめ
・2017年の7月から、性犯罪における法律が変わった
・親告罪ではなくなり、男性に対する強姦事件も同じように裁かれることになった
・罰則規定が厳しくなり、親などの立場にある人間からの性犯罪も強く取り締まられるようになった
参考サイト
◆泉綜合法律事務所:「110年ぶりの刑法改正。性犯罪が厳罰化!」
◆弁護士高橋裕樹のニュースな法律問題ブログ:「【強姦罪等が親告罪でなくなると被害者にはメリット?】 」