女性一人の帰り道、夜道は怖いし心細いから、携帯電話を手に持ち、友人や恋人、家族に電話をして会話をしながら帰宅する――――このような光景は、ごくありふれたものです。
この行動は、防犯上、正しいのでしょうか? それとも間違っているのでしょうか?
「会話をしながら帰ること」に肯定的な意見、否定的な意見
「携帯電話で会話をしながら帰宅することは、防犯上有意義である」といる説もあります。
「すぐにだれかに連絡できる」「電話相手が異変に気づいてくれる」「すぐに110番ができる」ということで、不審者が襲いにくくなるというのがその理由です。
ただ同時に、この「会話しながらの帰宅」に対して否定的な意見を持つ人がいるのも事実です。
「電話で会話をしながら帰宅している人は、注意力が散漫になっているので襲われやすい」「そもそも、『ここに女性がいること』を教えるきっかけになる」「仮に電話の相手が異変に気付いたとしても、すぐに助けることは難しい」という論調がその根拠となっています。
現在は否定的な意見が主流
どちらの意見も一理あるように思えますが、現在、警察や専門家がとっている見解は後者の方が多いと言えます。
「単独行動であることがすぐにわかるし、周りを気にしていない女性に見られる」ということで、携帯電話で会話しながらの帰宅は危険であるとして警鐘を鳴らしているのです。
特に、イヤホンなどを使っている人の場合、耳による危険察知が非常に遅れます。会話であってすらそうなのですから、両耳にイヤホンを入れて音楽を聞いている……などのケースは、危険極まりないと言えます。
加えて、「異変が起きたらすぐに110番ができる」という説も、相手側が不意にタックルなどをしてきた場合、多くの人が携帯電話を取り落とすでしょう。夜道で、一度落ちてしまった携帯電話を探すのはそれほど容易ではありません。また、見つけ出せても壊れている可能性もあります。
また、「だれかに襲われる」ということだけでなく、不意に起こる事故などにもつながります。「携帯電話で会話をしていて、運転をミスした」という車側の事故はよくとりあげられますが、歩行者の場合も危険です。耳から入ってくる情報を遮断された場合、車がクラクションを鳴らしていたり、電車の踏切が鳴っていたりする場合でもそれに気づきにくくなってしまいます。
まとめ
・携帯電話で会話をしながら帰宅することは、防犯上、賛否両論がある
・現在は「危険」という説が主流
・耳から入るべき情報が入りづらくなり、警戒心が薄れ、「女性がここにいる」ということを教えやすくなる
参考サイト
◆All About オールアバウト「夜道を無事に自宅に帰るために」
◆asahi.com「自分の安全は自分で守る」
◆福岡県警察「性犯罪から身を守るための防犯対策」