東日本大震災は東北地方・首都圏を中心に、交通網にも大規模な影響をもたらしました。地震による被害や混乱防止のための規制によって交通網が停止し、多くの帰宅困難者が発生したことは記憶に新しいでしょう。内閣府の推計によると、首都圏では約515万人の帰宅困難者が発生したそうです。
今回は、自分が帰宅困難者となった時にどのような行動をとるべきか、どのような支援を受けられるのかについてお伝えします。
大原則!むやみに移動を開始しない
交通機関が停止している中、帰宅困難者が徒歩で一斉に行動を開始すると、応急活動に支障を妨げる可能性があります。また、帰宅困難者の安否確認ができなくなったり、余震や二次災害に巻き込まれたりするリスクも考えられます。落下物や悪路によって思わぬ怪我をすることもあるでしょう。内閣府防災担当発表「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」では、帰宅困難者はむやみに移動を開始しないように強く呼び掛けています。大規模災害が起こったときはむやみに移動をするのではなく、会社、学校、施設等の指示に従うようにしてください。「むやみに移動を開始しない」という原則を守ることが、混乱防止や安否確認の向上につながるのです。
徒歩帰宅者への支援~災害時帰宅支援ステーションとは~
帰宅困難者の中には、長距離を徒歩で帰宅する人も含まれます。こうした徒歩帰宅者への支援として、災害時帰宅支援ステーションの拡充が行われています。災害時帰宅支援ステーションとは、徒歩帰宅者に対して水道・トイレ・休憩場所の提供・道路情報の提供などを行う施設のことを指します。
災害時帰宅支援ステーションは公共施設や民間施設(コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、ガソリンスタンドなど)が指定されています。ただし、これらの施設すべてが災害時帰宅支援ステーションに該当するわけではありません。自分が徒歩帰宅をすることになった時に通るルート上にある災害時帰宅支援ステーションを、あらかじめ確認しておきましょう。
帰宅困難者となった時のために、平時からできること
①事前に帰宅経路を確認しておく
徒歩帰宅をする際、むやみやたらに歩くのは危険です。ハザードマップや防災マップなどを参考にして、万が一の時の帰宅ルートを確認しておきましょう。その際、災害時帰宅支援ステーションの場所も必ず確認しておいてください。
②防災グッズの携帯
帰宅困難者となった時のために、防災グッズを準備しておくことも大切です。徒歩帰宅者となった場合、革靴やヒールのある靴では疲労がたまりやすく、ケガのリスクも高まります。会社のロッカーもしくは足元にスニーカーを用意しておきましょう。
また、日頃から「小型携帯ラジオ」「携帯電話の簡易充電池」「簡易食糧」を持ち歩くことを心がけましょう。
③安否確認方法の共有
大規模災害時には家族の安否が気になるでしょう。家族もまた、帰宅困難者となったあなたの安否や所在を心配しているはずです。大規模災害時にはネットワーク通信が制限されるため、電話やメールが通じにくくなります。こうした事態に備え、電話やメール以外の安否確認方法を家族間で決めておきましょう。内閣府は「災害伝言ダイヤル(171)」「携帯電話災害用伝言板」「SNS」の活用を推奨しています。
まとめ
・帰宅困難者となった時はむやみに移動をしない
・徒歩帰宅者となった時は、災害時帰宅支援ステーションを活用する
・日頃から「帰宅経路の確認」「防災グッズの携帯」「安否確認方法の共有」を行う
参考サイト
◆内閣府:「帰宅困難者対策」
◆東京都防災ホームページ:「帰宅困難者の行動」