今朝(2017年4月29日)北朝鮮が再びミサイルを発射したという報道がありました。
次に心配されるのは準備が進められていると報道されている核実験です。
昨年の2016年9月9日午前9時30分ころ、北朝鮮は10キロトン級と考えられる核兵器を豊渓里(プンゲリ)核実験施設で炸裂させました。
この時は気象庁が管理する地震計に自然ではない地震波が観測された為、核実験が行われた事が判明し、各国が北朝鮮へ非難声明を出しています。
北朝鮮の核実験は日本をはじめとした安全保障に直結する大切な案件です。
では、核実験が行われた際にどのような方法で見つけ出すのでしょうか?
核実験の探知方法を調べてみました。
衛星による探知
宇宙から世界中を監視する。
1963年8月5日に部分的核実験禁止条約(PTBT)がアメリカ・ソ連・イギリスを中心として結ばれ、互いに地下核実験以外の核実験を行わない様に監視する必要が起こりました。
そこでアメリカは衛星を打ち上げて宇宙から核実験を監視する方法を考え出します。
DSP衛星と呼ばれる早期警戒監視衛星は弾道ミサイルの発射に伴う熱を探知すると共に、核爆発による熱源も探知して警告を流します。
常時宇宙空間から地表を見渡す事で広い範囲をカバーしており、堂々と核実験を行えばたちまち見つかってしまう事になります。
しかし、地下核実験に対しては必ず探知できる訳ではないという問題と、同様の衛星を運用しているのはロシアとフランスくらいの為、運用している国はすぐに情報を得られても他の国は提供して貰うのを待つしかないという問題があります。
放射線物質の探知
放射性物質を空中で回収する。
9月9日に異常な振動が確認されると共に航空自衛隊のT4練習機が放射性物質のチリを集める為に集塵ポッドを搭載して集塵飛行を行っています。
核実験が行われると大気中に放射性キセノンと放射性粒子が放出され、それを探知する事で核実験が行われたかを確認する事が出来ます。
キセノンは地下核実験の場合も地表に流れ出るので、探知し易い物質です。
放射性粒子をまとったチリやガス状の放射性物質を空中で回収して分析する事で核兵器の威力や種類を推定する事が出来ます。
航空自衛隊は航空機に集塵ポッドを搭載して、このチリを定期・不定期に回収する任務を持っています。
また、全世界に80ヶ所の放射線粒子観測所と40ヶ所の放射線キセノン観測所があり、日本にも群馬県高崎市と沖縄県にある観測所で探知されます。
日本に流れ着いた放射線はここで探知されて原因が何か研究されるのです。
地震計による探知
不自然な地震波を探知する。
大規模な爆発が発生すると地震と同じ様に地面が振動を起こします。
これを地震計で感知する事で核実験のあった可能性を探るというものです。
核爆発によって起きる振動は地震とは違った波形で検出されますが、爆発方法を調整する事で地震に似せた振動を起こす事も出来ると言われています。
それでも地下核実験を探知するのに有効な方法である為、アメリカは冷戦中に全世界の地震を観測する事が出来るほど大量に設置しました。
水中核実験の場合も同じ様に衝撃波が検出されるので観測する事が可能です。
核実験を探知する手段を説明致しましたが如何でしたでしょうか?
北朝鮮のように周囲の国を無視した核実験を行う国が登場しない事が一番良いのですが、しっかりと観察して互いに道を諦めない様にしたいものです。
まとめ
・衛星から核実験を見張る手段がある
・放射性物質を感知して核実験を知る方法がある
・地震計で地震波を測定し核実験を探知する方法がある