脱臼と聞くと、痛みを伴うというイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、赤ちゃんの股関節脱臼は痛みがなく、成長とともに歩くことができる場合があるようです。そのため保護者は赤ちゃんが脱臼していることに気がつかず、発見が遅れてしまうケースがあります。
もし股関節脱臼が起きているのに見逃してしまうと、将来的に痛みや日常生活に弊害が生じることになるかもしれません。赤ちゃんの股関節脱臼は早期発見がカギとなります。
そこで今回は、赤ちゃんの股関節脱臼の症状や予防法についてご説明いたします。
赤ちゃんの股関節脱臼について

かつて赤ちゃんの股関節脱臼は、乳児の1~2%に起きていたようです。1970年代に予防啓発が始まったことで、10分の1程度まで発生が低下しました。現在では、1000人に1~3人の割合で発生しています。
しかし、昔と比べ股関節脱臼になる赤ちゃんが減少したことで認識が薄れてしまい、発見が遅れるケースが増えているようです。本来は、0歳児の健診で見つかるべきところが歩行開始の後に判明してしまうと、治療が難しくなってしまいます。
もし股関節脱臼になっていても違和感はありますが歩くことができる為、中には3歳以上になってから診断を受けるケースもありました。
3~4ヶ月検診で股関節脱臼だと診断されると、リーメンビューゲルというベルト状の特殊な装具を3ヶ月程度装着して治すことができます。装具をつけると1週間程度で整復されることが多いです。
1歳以降で診断されると入院しての治療が必要となり、場合によっては手術になります。そのまま放っておくと、将来的に変形性股関節症によって日常生活に支障をきたすかもしれないので早めに発見したいところです。
股関節脱臼の症状

赤ちゃんの股関節脱臼の症状を次にまとめました。
・赤ちゃんを横に寝かせ両足をM字に開いたとき、開き方が左右均等ではない
※どちらかの足が床から20度以上離れてしまったり、開き方が悪い
・太もものシワの数、位置、深さなどが左右対称ではない
・足を曲げたとき、どちらかの足が片方に比べて長く見える
・逆子で産まれた
・家族に股関節脱臼になったり、股関節が悪い人がいる
・歩行開始後であれば歩き方に違和感がある
他にも、男の子よりも女の子の方が5~9倍発生率が高いので、性別が女の子の場合。寒い時期に産まれた赤ちゃんは、身体を温めるために厚手の布でくるんで股関節で締め付けてしまうことがあるので、注意した方がいいでしょう。寝る向きがいつも同じ赤ちゃんであれば、どちらかの足が立膝になってしまいがちなので、タオルなどで向きを変えてあげた方がよさそうです。これらのチェック項目に複数当てはまることがあれば、詳しい検査をおすすめします。
股関節脱臼を予防するには
赤ちゃんは股関節が外れやすいです。股関節脱臼を予防するには、M字(がに股)になっている足を無理に伸ばさないこと。赤ちゃんの足はM字になっているのが普通なのです。抱っこするときは、足を揃えるのではなく、足を開いてコアラ抱っこをしましょう。また、締め付けが強い服を着させないこと、おくるみやスリングなどを使うと足が伸びやすいので十分に注意しましょうね。
先述しましたが、赤ちゃんの足の開きに違和感を持ったら医療機関を受診した方がいいです。赤ちゃんの股関節脱臼は、早期発見が鍵となります。
まとめ
・赤ちゃんの股関節脱臼は1000人に1~3人の割合で発生している
・診断が遅れるケースが増えている
・左右の足のシワの数や深さ、開き具合が均等ではない場合は要注意
・M字の足を伸ばさないこと
参考サイト
◆47NEWS「乳児股関節脱臼を見逃すな 診断遅れで治療難航 健診体制の再構築を」