2016年11月15日、安倍晋三内閣による閣議でアフリカの南スーダンへ派遣される自衛隊に「駆けつけ警護」を新しい任務として加える事が決まりました。
いよいよ今日2016年12月12日からこの「駆けつけ警護」が実行可能となり、自衛隊の国際派遣に新たな歴史が刻まれました。
これから自衛隊の国際的な役割がますます増える事が予想されますが、今回は過去にどの様な理由で自衛隊が国境を越えて国際派遣されてきたのかジャンル別にその歴史をご紹介します。
国際連合の平和維持活動として
PKO活動で重要な役割を担う
自衛隊は国際平和協力法(PKO協力法)が成立した1992年、国連カンボジア暫定機構への参加をきっかけとして、国際連合が行う平和維持活動(PKO)への参加を開始しました。
PKOとは戦争や内戦などのいわゆる武力紛争などが行われた地域で、揉めている当事者間が平和で安全な関係を築くために仲裁役として国際連合加盟国が軍隊を派遣することです。
具体的には争っている相互の勢力に対して武力活動をより強い武力で監視して戦闘が起こらないようにしたり、争いに巻き込まれて困っている戦闘員ではない一般の人たちに対して医療や食糧支援・インフラ整備などの人道支援活動を行ったりします。
国レベルのケンカを世界の国々が団結して仲裁して、理不尽に巻き込まれてしまった子供や女性など弱い立場の人々を助ける活動…といえば分かりやすいでしょうか。
自衛隊は過去に14回のPKO活動を経験しています。
今回の「駆けつけ警護」ができるようになった南スーダンでのPKO活動でも、自衛隊は2012年から人道復興支援活動(主にインフラ整備)で活躍しています。
どうして南スーダンで「駆けつけ警護」が必要になったかなどの詳しい経緯は、11/30の記事『南スーダンで行われるかもしれない、自衛隊による「駆けつけ警護」とは?』をご覧ください。
これまでは2007年に創設された陸上自衛隊中央即応集団がPKO派遣及び教育の中心的な役割を担ってきました。
しかし今後は新たに創設される陸上総隊へと機能を移して、陸上自衛隊全体へとノウハウ共有と指揮能力の発揮を進めていきます。
PKOには海上自衛隊と航空自衛隊も活躍しており、C-130輸送機が危険を顧みず物資の輸送を務めたり、おおすみ型輸送艦が陸自部隊を派遣先に輸送する為に活動したりしています。

C-130輸送機
災害時の緊急援助活動として
災害時に派遣される国際緊急援助隊の柱として活躍
国際平和協力法が成立した1992年に国際緊急援助隊の派遣に関する法律(JDR法)が定められました。
国際緊急援助隊は外国で大規模な自然災害が起こった時に、外務省が中心となって各省庁の機関を集めて編制する部隊です。
被災国の要請に基づき、国際協力機構(JICA、ジャイカ)の調整を受けて救助・医療・専門家・感染症対策・自衛隊の各チームが派遣されます。
自衛隊は救助や医療などの専門的な分野は消防などは専門部隊に任せ、後方支援や物資輸送・インフラ整備などを担当し、援助活動では欠かせない存在となっています。
これまで1998年のホンジュラスで起きたハリケーン被害への派遣を皮切りに、既に20回もの派遣実績を持っています。
中央即応集団は国際緊急援助隊でも中心的な役割を担ってきました。
また、航空自衛隊の輸送部隊による物資の緊急空輸や、海上自衛隊による輸送も大きな役割を果たしています。
海上自衛隊はインドネシアの地震津波被害で被災者へ直接物資を届ける活躍をしています。
今後も世界各地で大きな災害が起こる事は避けられませんが、自衛隊が世界各地で被災者の助けになるはずです。

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次回は「外交的な取り組みによる自衛隊の海外派遣」を紹介します。
まとめ
◆今日、2016年12月12月から自衛隊は南スーダンで「駆けつけ警護」が実行できるようになった
◆自衛隊は国境を越えて海外でも活躍している
◆自衛隊はPKO活動に1992年から今まで14回参加している
◆自衛隊は災害時の救援活動で1998年から20回も海外に派遣されている