2019年12月、中国湖北省武漢市で集団発生した新型コロナウイルスによる肺炎で、日本も連日対応に追われています。
武漢市では事実上の封鎖にまで発展し、国内の空港や港でも水際対策での警戒を強化しています。
世界保健機関(WHO)は「緊急事態」と称して議論していますが、新型コロナウイルスによる見解が専門家の間でも統一されておらず情報が氾濫しています。
現時点、新型コロナウイルスに効く特効薬はありません。
対症療法しかないのです。
新型コロナウイルスの感染力

新型コロナウイルスの感染力は感染者1人から感染する人数は2~3人程度とみられます。
これはSARS(重症急性呼吸器症候群)と同程度の感染力です。
しかし、集団発生した武漢市とこれ以外の地域での感染力は異なっています。
・武漢市の感染力:1人の感染者から2~3人程度
・武漢市以外の感染力:1人の感染者から1人かそれ未満
現時点での致死率はSARS(重症急性呼吸器症候群)よりは低く、毒性はそれほど強くはないといわれていますが、命を落としている人が増えているのは紛れもなく事実なのです。
新型コロナウイルスは変異する?
新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じく、遺伝情報がRNAの形をしています。
RNAウイルスは構造上、DNAウイルスよりも変異を起こしやすくなっています。
ご存知のとおり人間の遺伝子はDNAです。
簡単に説明すると、RNAウイルスは自分の力では増殖できず、他の生物に感染し自分の遺伝子であるコピーを作り増殖していきます。
RNAのコピーは正しい情報を伝えきれず偽物を作ってしまうのです。
この偽物をウイルスの変異と呼んでいるのです。
ウイルス自体は非常に小さく増殖スピードが早いことから、抗菌薬(抗生剤や抗生物質)が効かないのです。
抗菌薬(抗生剤や抗生物質)はあくまでも細菌を退治するための薬剤なのです。
新型コロナウイルスの症状

現時点、感染者から上がっている症状は呼吸器症状が圧倒的に占めています。
・発熱
・せき・・・頻度が高い
・息苦しさ
・呼吸困難
・筋肉痛・・・頻度が高い
・倦怠感・・・頻度が高い
・頭痛・・・頻度が高い
・痰
発熱の頻度は高い傾向にあるものの、感染者の中には無熱の症例もあったようです。
呼吸不全に陥れば人工呼吸器を使って呼吸管理が必要になってきます。
重症化してくると腎臓の機能低下も懸念されてきます。
呼吸器症状が多いことから肺炎の臨床所見と似ていますが、ウイルス性の新型肺炎は痰を認めている症例が比較的少ないようです。
感染経路は飛沫感染
飛沫感染とは感染者が会話や咳、くしゃみをしたときに飛ばす唾が媒介となり、感染を拡散していきます。
飛沫感染の粒子は大きいため、空気感染の粒子とは違い空気中には浮遊せずすぐに落下していきます。
唾には水分の重量が含まれているため、唾は遠くには飛ばず落下していくのです。
よほど感染者に接近しない限り簡単に感染することはありません。
新型コロナウイルスの潜伏期間
現時点の報告では、新型肺炎に感染してから症状が出るまでの潜伏期間は7日前後(2~12日程度)といわれています。
長くても潜伏期間は12日程度の見解が有力です。
感染者の中には無熱の人や無症状キャリアの人たちもいて、知らないうちに感染を拡散しているケースもあるようです。
※潜伏期間とは?
病原体に感染してから体に症状が出るまでの期間を指す。
インフルエンザの潜伏期間は平均2日程度です。
中国湖北省武漢市で集団発生した新型コロナウイルスは、現地の海鮮市場の関係者を中心に感染が拡散しています。
市場環境との関連性も原因究明ができないまま、命を落とす人たちが増えているのです。
新型肺炎コロナウイルスの予防法

冒頭でもご説明しましたが、新型肺炎コロナウイルスに効く特効薬はありません。
抗ウイルス薬や感染を防ぐワクチンもありません。
対症療法が中心となってくるため、感染した場合は安静にして症状が消失するのをひたすら待つしかないのです。
だからこそ、新型肺炎を予防する上では感染対策が何より重要になってくるのです。
・マスクの着用
・咳エチケット
・手洗い・・・手洗いにかける時間は20秒を意識して!
・バランスの取れた食事と休養のススメ
・人混みを避ける
上記はどれもが基本的なことです。
この当たり前で基本的なことこそ徹底し、新型肺炎コロナウイルスから大切な命を守ることができるのです。
今後の動向
この記事を書いているのは2020年1月26日(日)現在です。
現時点、新型コロナウイルスに関する情報は断片的で氾濫しており、専門家の間でも連日議論されています。
国内での日常生活に大きな影響を及ぼすことはないとされています。
しかし、ウイルスが変異することを考慮すれば、国内でも流行の可能性がある、ということをけして忘れてはいけません。
当院でも新型肺炎コロナウイルスによる感染対策のマニュアル作成を開始しています。
感染の拡散状況やコロナウイルスの性質、そして個人ができる感染対策について改めて見直していきましょう。
コロナウイルス、今後の動向に注視です!
まとめ
・新型コロナウイルスに効く特効薬はなし
・対症療法が中心
・コロナウイルスは遺伝情報がRNAのため変異する
・新型肺炎は呼吸器症状が圧倒的に多い
・感染経路は飛沫感染
・飛沫感染とは感染者が会話や咳、くしゃみをしたときに飛ばす唾が媒介となる
・新型コロナウイルスによる感染力は集団発生した武漢市とこれ以外の地域では異なる
・新型肺炎の潜伏期間は7日前後(2~12日程度)
・感染対策を徹底する
・今後の動向に注視する