急速に症状が進行し、致死率が高い髄膜炎菌感染症。始めは頭痛、吐き気、発熱などの風邪のような症状から始まるので、まさか髄膜炎菌感染症に感染しているとは気付きにくいものです。年齢にもよりますが、風邪だと判断してしまうと医療機関を受診することが少なくなりがちではないでしょうか。これも髄膜炎感染症で命を落とす原因のひとつです。症状が悪化するまでの時間が早いので、あっという間に意識障害やけいれん、皮下出血などが現れ、命を落とす危険性が高まります。治癒しても、後遺症が残る人が一定数います。
髄膜炎菌感染症は集団生活をしている人が罹りやすい病気です。健康な人でも髄膜炎菌を保有しているので、予防するにはワクチン接種が必要です。
そこで今回は、髄膜炎菌感染症のワクチン接種について詳しくご説明いたします。
髄膜炎菌ワクチンについて

髄膜炎菌感染症は、ワクチンを接種することで感染リスクを下げることができます。
髄膜炎菌ワクチンは、日本では2015年5月から接種可能になりました。任意接種となり、1回ワクチンを接種すると約5年間抗体が持続します。髄膜炎菌ワクチンは2歳から接種可能で、筋肉内に注射します。
接種した年齢によって、追加接種のタイミングは変わってきます。
例えば2~6歳にワクチンを接種した場合は、3年後に追加接種して、その後は5年毎に接種となります。7歳以降に接種した場合は、5年毎の追加接種となるのです。
髄膜炎菌感染症は急速に症状が進行していきます。発症者の5~10%が発症後2日以内に命を落とすとも言われているほど、恐ろしい病気です。適切な処理を行っても、約20%の感染者が手足の切断や麻痺、神経障害などの後遺症が残るとも言われています。
自分自身、そして大切な人を守るためにも髄膜炎菌ワクチンの接種が必要になるのです。
髄膜炎菌ワクチンの接種タイミング

海外と比べると、日本での髄膜炎菌感染症の感染報告は多くありませんが、油断してはいけない病気です。髄膜炎菌感染症は0~5歳、15~19歳が好発年齢とされています。飛沫感染が主な感染ルートですが、食器類の共有やキスなども感染する原因となると言われています。また、髄膜炎菌は健康な人も保有している細菌なのですが、発症しない理由は解明されていません。
次に接種のタイミングですが、3~5歳で日本脳炎ワクチンの定期接種をする頃と合わせて接種することをおすすめします。もしくは、11歳頃に行う2種混合ワクチンに合わせるという方法もあります。どこで接種すればいいのか分からずに、そのままタイミングを逃してしまったという人が多いので定期接種と同じくらいの時期を目安にすると分かりやすいですね。
それ以外にも、集団生活をすると髄膜炎感染症に感染するリスクが高まるので、高校生や大学生など寮に入る前、運動部の合宿海外に渡航する前(旅行や留学など)に接種するといいです。アメリカでは、入学する際髄膜炎菌ワクチンの接種証明を求められることがあります。
日本では、髄膜炎菌感染が2012年3月に「学校において予防に努めるべき感染症(学校感染症)」に指定されました。ただし、ワクチン接種は任意のままです。
また、アフリカや中東には髄膜炎ベルト地帯と呼ばれる髄膜炎菌性髄膜炎が多発している地域があるので、行く機会がある人は注意が必要です。
まとめ
・髄膜炎菌感染症はワクチンで予防することができる病気
・任意接種なので定期接種のタイミングか、集団生活の前、海外に渡航する前にワクチン接種するといい
参考サイト
◆サノフィ株式会社「よくわかる髄膜炎菌」
◆NPO法人VPDを知って、子どもを守ろう「髄膜炎菌ワクチン」
◆NPO法人VPDを知って、子どもを守ろう「髄膜炎菌感染症」