「交番」も「駐在所」も、治安を守る役目を持つ警察施設です。ただこの2つは、実はその性質に大きな違いがみられます。
長く駐在所に住んでいた私が、この2つの違いを解説します。
交番=派出所、警察官が交代で勤務に当たる

「交番」は、かつて「派出所」と呼ばれていました(平成6年に、「交番」という呼び方に変更されました)。
交番は、警察官がローテーションを組んで交代で勤務を行います。基本は3交代制であり、1人の警察官が24時間勤務―非番―休みを繰り返して勤めることになります。小さな交番では1日に勤務にあたる人数は最低1人となっていますが、大きな交番では1日に住人を超える人数が詰めることになります。
交番はその性質上、「いつ行っても必ず人がいる詰所」だといえます。
駐在所は、家族を伴った警察官が1人で勤務にあたる

対して、駐在所は交番とは異なる性質を持っています。
最大の違いは、「駐在所は住居空間を伴う」ということです。住居部分と事務所部分の玄関はわけられていますが、住居部分から事務所部分はつながっており扉1枚で隔てられています。
駐在所は交番とは異なり、1人の警察官がずっと寝泊まりをして過ごします。また、必ず家族を帯同して勤務にあたります。このため、警察官の子どもも特殊なケースを除き、義務教育時代は管轄内の小中学校に通うことになります。
2018年や2019年に、「夫婦ともに警察官である」というご夫婦が勤める駐在所がニュースで取り上げられました。ただ、このようなケースはまれであり、基本的には警察官の夫と警察官ではない妻(とその子ども)という組み合わせで駐在所を運用していくことになります。
職場と勤務場所が一体化している駐在所では、基本的には、「警察官がいないときにはその妻が家(駐在所)にいること」が求められます。
駐在所の警察官も旅行などで留守にすることがありますが、あまり歓迎はされません。仮に駐在所の警察官が留守にする場合は、交番の警察官がその管轄を一時的に受け持つかたちになります。しかし、「駐在所の警察官がいないときに、交番の警察官が駐在所に来る」ということはないため、駐在所はだれもいない状態になることがあります。
もし駐在所にだれもいない場合は、110番などで対応してください。
まとめ
・交番は3交代であり、24時間いつでも必ず警察官がいる
・警察官の人数は交番によって異なる
・駐在所は、家族を伴った警察官が1人で勤務にあたる(ただし、夫婦ともに警察官ということは、少数ながらありうる)
・駐在所はまれに人がいないこともある