2015年12月23日埼玉県さいたま市にて高齢の男性が運転する車に女子高生が轢かれて亡くなるという悲しい事故がありました。
それから一年後の2016年12月16日に裁判所は男性に対して実刑判決を言い渡しました。
2016年は高齢ドライバーによる事故が相次ぎ、10月28日にも小学生が亡くなる事故が発生しました。
高齢者による交通事故の原因は何処にあるのか、相次ぐ悲劇を防ぐ術を考えてみました。
高齢化による運転の危険性
認識能力の低下
70歳以上のドライバーに対しては特別な講習を受ける事が義務付けられており、更新期間も一律で3年間とされています。
本人が身体能力の低下などを理由に免許を返納する場合は運転経歴証明書という身分証明書の交付を受ける事も可能です。
しかし、多くのドライバーは免許返納を考えていないようで、警察庁が平成16年に行った調査では85%の解答者が「返納を考えた事はない」とハッキリ答えており、72.8%は「まだまだ普通に運転できるので返納しない」と回答しています。
これは高齢者ドライバーの殆どが運転に自信を持っているという事になるのですが、実際に事故を起こす割合は増えており、交通事故で亡くなる方だけを見ても75歳以上の方の交通死亡事故率は、75歳未満の方に比べて2倍以上多くなっております。
事故の原因としては、一時停止の無視や通行区分の間違えといった認識能力の低下により標識を読み取れなかったり、そもそも間違えてしまっているケースが多くなっています。
また、無理な追い越しや右左折もあり、70歳以上のドライバーを家族に持つ人々に対するアンケートでは9割の回答で高齢者の運転に危険が伴うと認識している事が分かっています。
運転をやめられない理由
生活に不可欠な自動車
高齢者の危険が分かっていても、彼らが運転をやめられない理由もあります。
平成16年警察庁が70歳以上のドライバーに取ったアンケートでは仕事や通院、買い物に家族の送り迎えといった生活と切り離せない事をする為に車を運転している人が80.8%もいる事が分かっています。
運転免許の返納を考えた事がある人の46.3%は自動車に代わる交通手段が存在しないという問題を抱えています。
生活に必要だからこそ免許を手放せない人へ助けを伸ばす事が大切です。
地方では公共交通機関が経済的な問題から維持できないという背景もありますが、高齢者が無理して運転を行うよりもバスといった交通機関を定期的に運行するだけで運転するのを止めたいと考える高齢者の助けになります。
運転に自信がある方々にも、「自分は大丈夫だから」と思わせない研修を考える必要があります。
例えば、VRを用いた教習車両を用いる事で、今の運転ではどれだけ危険なのかを認識してもらうという方法もあります。
今は大丈夫であっても誰もが年齢を重ねていくものですから、将来に備えて社会的な対策を進めていって貰いたいですね。
まとめ
・高齢者ドライバーの多くは自らの危険性に気が付いていない
・高齢者でも自動車が生活に欠かせない存在となっている
・免許を返納したくても地域社会の構造上出来ない場合がある
・社会的に車へと関わる取り組みをよくする必要がある